通信制高校を選ぶ時、気になるのが「学費はどのくらいかかるのか?」「少しでも安く抑える方法はあるの?」という2点です。この記事では、通信制高校の学費をわかりやすく解説しつつ、学費を安く抑えたり免除を受ける具体的な3つの方法を紹介していきます。
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通信制高校にかかる学費や費用
費用の種類 | 公立 | 私立 |
---|---|---|
入学金 | 500円 | 2〜5万円 |
授業料 | 年間1〜3万円程度 ※1単位300円〜1000円 |
年間18万円〜 ※1単位6000円〜 |
教科書代や施設費など 授業料以外にかかる費用 |
年間3万円程度 | ネットコース 年間3万円~ 登校コース 年間10万円~ |
合計 | 4〜6万円 | 25万円〜 |
通信制高校にも、公立と私立の学校が存在します。公立の通信制高校は比較的学費が安く設定されており、すべて合わせて年間4~6万円程度で通学できます。
一方、私立高校は年間25万円~と公立に比べ割高です。しかし、自宅学習がメインで就学支援金を利用することができれば、年間約10万円程度から探すことができます。
それでもなぜ私立が選ばれるのか?
通学費用にこれだけ差があるものの、令和元年の入学者では、公立が12,133人、私立が45,318人と約7割の生徒が私立の通信制高校を選択しています。
その理由は、私立のほうが何かと便利な点が多いからです。
たとえば、私立は公立に比べて、レポート提出がWEBサイトやメールでできたり、学習の進め方やサポート体制が充実していたりするため、疑問点や不安をそのままにすることなく学習を進めていくことが可能です。
また、テストやスクーリングの日程、転入・編入の時期についても、公立と比べ私立は柔軟な対応が期待できます。
学費に囚われず、卒業するにはどちらが自分に合っているのかを考えた結果、私立は多くの生徒に支持されていると言えるでしょう。
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通信制高校の学費以外で知っておきたい費用
通信制高校に通う以外にもかかる学費があります。
たとえば選んだ高校が遠方なら、スクーリングを受けるための往復の交通費が必要です。また、学校に通うのが久しぶりだ、自分の学力に自信がないなどの場合は、サポート校と呼ばれる卒業をアシストしてくれる機関の利用も考える必要があります。
サポート校でかかる学費は登校日数やコース、設備などによって大きく異なり初年度納入金は50万円~100万円ほどです。
項目 | 費用 |
---|---|
入学金 | 5万円〜20万円 |
授業料・施設料・行事費 | 35万円〜80万円 |
初年度納入金の合計 | 50万円〜100万円 |
この金額は私立の全日制高校と同等の金額です。ただ、サポート校だけでは高校卒業はできないため、通信制高校にも同時に入学することとなり、通信制高校のみに在籍している生徒より学費の負担は大きくなります。
なぜサポート校を選択するのか?
サポート校は、学習面・生活面・精神面で生徒を支え3年間で卒業できるように支援する学校です。
学費の負担が増える反面、レポートや認定試験対策、スクーリング指導などきめ細やかな対応ができ、就学にブランクがある生徒、自学自習に自信のない生徒の強い味方となります。
その他にも不登校で悩んでいる方なら、カウンセラーによる心のケアに重点を置いているサポート校や、在学中に特技を伸ばしたいならダンス・芸術・美容など資格取得や職業体験に力を入れているサポート校も人気です。
このため通信制高校への進学を希望しているけれど、卒業できるか不安に感じたり、在学中に将来に役立つ資格取得を目指したりしたい方は、サポート校の学費も合わせて確認しておきましょう。
通信制高校の学費を抑える3つの制度
ここからは通信制高校の学費を少しでも抑えたり免除を受けるための、3つの制度を紹介していきます。この他にも、学費を抑えるためのコースの選び方は以下の記事で紹介しています。
私立高校の授業料が実質無償化されるかも?高等学校等就学支援金を知る
高等学校等就学支援金とは、高校に通う生徒が学校を通して国に申請を出すことでもらえる返還不要の支援金です。
※参考「私立高等学校授業料の実質無償化」リーフレット(PDF)
2020年4月から、通信制高校では高等学校等就学支援金の上限が297,000円となりました。
▼支給される単位費用上限
・世帯年収が590万円未満の場合:1単位最大12,030円
・世帯年収が590万円~910万円未満の場合:1単位最大4,812円
なお、1単位あたりの費用が上限金額以下の場合は、費用相当額を上限に支給されます。また1単位あたりの費用が上限金額以上の場合は、差額を自己負担して支払う必要があります。
▼世帯年収が590万円未満の場合の費用例
・1単位費用:10,000円 → 10,000円のみ支給される
・1単位費用:15,000円 → 差額2,970円を自己負担
▼世帯年収が590万円~910万円未満の場合の費用例
・1単位費用:10,000円 → 差額5,188円を自己負担
・1単位費用:15,000円 → 差額10,188円を自己負担
その他、就学支援金は授業料にたいしてのみ支給されるため、教科書代や施設利用費など自費で賄わなければならない部分もあります。それでもこの制度により多くの生徒が本当に通いたい学校へ行ける可能性が広がりました。
都道府県による上乗せ学費免除(無償化)措置もある!
母子家庭(父子家庭)や、生活保護を受けている家庭では、就学支援金だけでは十分ではない、という場合もあるでしょう。
ですが、国が支援する就学支援金のほかに、都道府県によってはさらに上乗せして授業料の減免が受けられる制度がある場合もあるので、必ず確認しましょう。
例:東京都の場合の条件と助成金額
・都内在住で私立高校等に在学する生徒の保護者等のうち、令和4年度の区市町村民税課税標準額等が一定額以下(世帯年収目安約910万円未満)の方
→国の就学支援金と合わせて、都が認可している通信制課程は年額258,000円を上限に助成
・上記の基準を上回る保護者等のうち、扶養する23歳未満の子が3人以上いる方
→生徒一人あたり年額59,400円を助成
自分の家庭で使えるかも、と思う方は「都道府県名 高等学校等授業料軽減制度」で検索してみるか、通学予定の学校に相談してみましょう。
参考)私立高等学校等の学費負担軽減に係る支援について│東京都
奨学金を取得する
目指したい高校があるけれど、就学支援金だけでは足りないという場合は、各都道府県が行っている無利息の奨学金や、学校が参加している基金が利用できます。
自治体によっては、卒業すると返還免除となる奨学金もあるため、「○○県 奨学金」と検索し、自分の住む地域でどんな制度が実施されているか、募集対象はどうなっているかを確認してみましょう。
スポーツなど一芸で特待生を目指す
スポーツで全国大会に出場した経験がある、学業で優秀な成績を修めている、そんな人なら特待生を目指すのも学費を抑えるには有効です。
特待生を歓迎している通信制高校の中には、条件を満たせば施設利用費が半額免除になったり、授業料以外の学費を一部免除してくれたりする学校も存在します。
もし、勉強やその他の活動を頑張りたいが、全日制には行けないという理由がある人なら、特待生制度を利用も考えてみましょう。
通信制高校の学費は抑えられる!
通信制高校でかかる学費は、公立で年間3万円程度、私立では年間10万円程度、毎日登校コースやサポート校を利用するなら、さらに50万円程度かかる場合もあります。
しかし2020年4月から開始された就学支援金の充実などで、学費を無償化したり免除を受けたりすることが可能になりました。
学費は誰でも気になる部分です。しかし通信制高校を選ぶときには、学費の安さだけで選ぶのではなく、この学校で自分がやりたいことは何なのか、きちんと卒業できそうか、といった大事な部分をよく考えて決めてください。
それが、自分にとって意味のある高校生活だけでなく、自分の夢や「高校卒業」という大きな目標を果たすことに繋がるはずです。
この記事を書いたのは
通信制高校ナビ編集部
「一人ひとりに最適な学校探し」をテーマに、さまざまな進路選択を考える生徒さん、親御さんに向けて、よりたくさんの選択肢を提供できるよう、通信制高校、サポート校に関連する情報を発信しています。