N高在学生の親などに聞く-保護者の目で見た通信制高校

通信制高校

2016/10/03

全日制高校への進学が多いなか、我が子が通信制高校への進学を希望したら……?

学校の様子は? 卒業後の進路は? 情報が少ないために、不安を感じる家族もいるだろう。

実際に通信制高校に進学をした子どもを持つ保護者3名に話をうかがった。

フリースクールをきっかけに通信制高校へ

(2001年入学~2004年卒業)

子どもが不登校になったのは中学2年生の時でした。それなら、とフリースクールに行くことを勧めたのですが、その頃は子どもが頑なになってしまっていたもので、見学に行ってもなかなかうんとは言わない。何度か見学に行くうちに「ここで!」と子どもが決めたところに中学3年から通いました。そこで良い先生とめぐりあったんですよ。好きだった絵を描くことに対する指導も親身にしてくださり、賞をいただくほどまでになりました。

気持ちもほぐれてきたところで、親子で「高卒の資格を取ったらどうか」という話をしました。その当時、市内では通信制高校は1つだけでしたので、そこへの進学を決めました。

高校に通っている間も、通っていたフリースクールの先生が学習面のサポートをしてくださったこともあり、無事に4年間で卒業することが出来ました。その後は製菓の専門学校に進学し、今はパートナーと一緒に洋菓子店を営んでいます。

通信制高校だと、親が高校に行くことはなかなかなく、私自身も卒業式に出席しただけです。子どもが自分でしっかり管理できないとクリアできないところなのだなという印象を受けました。働きながら学んでいる生徒も多いですし、それぞれの生活のリズムに合わせながらやっていくことは並大抵のことではありませんよね。強い意志が必要なのだなと感じました。

娘からの「高校に行きたい!」に驚き、3年での卒業に再び驚く

(2011年入学~2014年卒業)

「高校に行きたい」と娘から言われたときには、本当にびっくりしました。中学校ではなかなか教室に入ることができず、当然、勉強も遅れてしまっていて。そんな状況でしたので、高校には行かないのだろうなと思い込んでいたところに、娘のほうからの希望でしたから。

通信制高校に入学し、当初は4年で卒業の予定でいました。ところが、本人の頑張りで3年で卒業することができたのです。中学校で同じ学年だったお友達と一緒に専門学校に進学することもできました。2年間さらにしっかり勉強して、今は元気に働いています。

私は入学式と卒業式の時にだけ学校に行きましたが、年齢もまちまちで、こんなに幅広い層の人たちが同じ生徒として学んでいるのだなと感じました。

自分で決めた道をしっかり進んだ娘の姿を見て、心からうれしく思っています。

新設N高等学校で幅広い学習に期待

(2016年入学~)

私の子どもは定時制高校に通っていたのですが、だんだん学校に行かなくなりました。人付き合いが苦手なことが理由だったようです。本人も、高校には行かなきゃ! でも、いざとなると行けない……と悩んでいました。そんな頃に、たまたま目にしたのがN高等学校の資料。子どもも「ここならいいかも」と興味を持ったようだったので、進学することになりました。

新設校でもあり、私としても子どもが通信制高校に行くこと自体初めてのことなので、親子ともに手探り状態ではあります。授業はネットで視聴し、レポートを提出。決まった時間に学校に通うわけではなく、自分で計画を立てて、学習を進める……ということで、自己管理が大変だなとは思います。

クラスや担任の先生も決まっています。先生からは電話やメールでこまめに連絡がきています。困っていることや悩んでいることがないかと常に気にかけて下さるのが心強いです。クラスメイトとは実際に顔を合わせることがなくても、ネット上に交流する場があるようです。ここからお友達ができる……という可能性もあるわけですよね。

スクーリングは年間5日あります。本校所在地は沖縄になりますが、地元で受けることもできますし、東京や大阪などでも受けることができるとのこと。また、日本各地での体験学習も豊富にあります。「広島で図書館司書を体験」や「北海道で酪農体験」など。いずれ、修学旅行に行くような感覚で、遠方でのスクーリングに参加するのもいいのではないかと思っています。

スタジオジブリのプロデューサー鈴木敏夫さんが理事であるのをはじめとして、各界で活躍されている方の授業を受けることができるのもすごくいいなと思っています。さまざまな世界の生の声を聞くことで、興味の幅がぐんと広がるのではないかなと思うのです。まだ積極的に人と関わるのはむずかしい様子ですが、これから子どもがどんな風に変わっていくかが親として楽しみです。

(わたなべひろみ+ノオト)

※本記事はWebメディア「クリスクぷらす」(2016年10月3日)に掲載されたものです。

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