【座談会】高校生アルバイトのリアル!ブラックを見分ける方法や月の収入などをぶっちゃけます

生徒・先生の声

2022/07/15

夏休みに向けて、アルバイトにチャレンジしてみたいと考える生徒も多いと思います。しかし、いざ始めるとなると、「勉強と両立できるの?」「いくらぐらい稼げるの?」「つらい職場だったらどうしよう」と不安も大きいのではないでしょうか?

「アルバイトは大変なこともあるけれど、やって良かった」

そう語るアルバイト経験者の高校3年生3人に集まってもらい、それぞれのアルバイト体験について詳しくお話ししてもらいました。

座談会メンバー(左から)

  • Kさん 高校3年女子、ファストフード店の調理アルバイト
  • Yさん 高校3年女子、定食チェーンでアルバイト
  • Tさん 高校3年男子、コンビニでアルバイト

人手不足の今、高校生バイトは決まりやすい!

まず、みんながアルバイトを始めたきっかけを教えてください。

私は高1の夏、中学時代の先輩に「人手不足でバイトを募集しているから」と誘われて、ファストフード店でアルバイトを始めました。先輩の紹介だったのですぐに採用になりましたね。場所は学校と自宅の中間くらいで、定期券が使えるのもいいなと思いました。

僕は、友達と遊ぶお金や趣味に使うお金を親に出してもらうのはちょっとな……、と思っていたので、高校生になったらバイトしようと決めていました。

高1のときには家の近くのピザ屋でバイトをしていたんですが、デリバリーは時間との勝負で、特に注文が重なったときは臨機応変に動かなくてはならず、誰かがミスすると現場がピリつくんですね。それが少し負担で、家の近くにあるコンビニのアルバイトに変えました。

コンビニもやることは多そうだよね? ファストフード店の場合は完全にマニュアル化されていて、黙々と同じものを作るだけなので、難しいことはないけれど……。

確かに品出しに掃除、レジではタバコや公共料金の支払いとか、いろいろやることはあるけれど、やってみればどれも単純作業。マニュアル化できることばかりだから、慣れれば誰でもできると思うよ。

コンビニは高校生バイトも多いよね。私はチェーンの定食屋でホールスタッフとしてアルバイトをしています。私たちが入学したときはちょうどコロナ禍が始まった頃で、私の場合は1年生の間は親にバイトを止められていました。

2年になったらお許しが出たので、自宅から近い商業施設の中にある飲食店から募集しているところを探しました。その中に、母親が以前、社員として働いたことがあるというチェーン店があったので、そこに決めました。

3人とも、面接はすんなり通ったんですね。

今は人手不足のところが多いから、高校生でも通りやすいと思いますよ。

面接の前に専用のエントリーシートを書いて、その後面接という流れなんですけど、すぐに採用してもらえました。シートに何を書いたかはあまり覚えていません。
「人とコミュニケーションとるのが好き」みたいなことを書いたと思います。

私も、履歴書を自分で書いて持って行くのかなと思っていたんですけど、専用のエントリーシートでした。人手不足なので即時採用でしたね。

僕の場合はコンビニの公式サイトにあったアルバイト専用の応募フォームから応募したんですけど、しばらく何の音沙汰もなかったので直接お店に電話をしました。
そうしたら、「今時、電話してくる子なんていないよ、面白いね」と気に入ってもらえて、すぐに採用してもらえました。

エントリーシートは大手だと決まったフォーマットがあるみたい、というKさん

シフト調整すれば勉強や部活との両立も大丈夫

勉強や部活との両立はどうしているのか教えてください。

私は1〜2年生の間は週3日、今は就職活動があるために週2日のシフトにしているんですけど、テスト前には休ませてもらえるので、勉強との両立はそれほど難しくないと思います。
部活も茶道部に入っているんですが、忙しい部活ではないので大丈夫です。

僕は弓道部に入っています。シフトを調整できるから部活との両立も安心です。テストが近いときはコンビニのレジに暗記ノートを持ち込んで、お客さんがいないときにこっそり勉強することも……。

えらい! 周りの話を聞いていても、高校生だとテスト前や文化祭の前は休ませてもらえたり、シフトを少なくしてもらえたりするところが多いと思います。だから勉強との両立もそれほど難しくないと思いますよ。

バイト先での人間関係はどうですか? 友達ができたとか、怖い先輩がいるとか。

僕は大学生のバイト仲間ができたのが良かったです。大学生から、大学の話や就活の話を聞けるので、勉強になっています。

就職活動って進学を考えている高校生にはなかなかイメージがつきづらいんですけど、そうは言っても数年後にすぐやってくるものだから、今から考えておきたいなと思って。
店長にも、進路に関していろいろなアドバイスをもらっています。

私も大学生バイトが多くて、年上の友達ができたのは嬉しいですね。
でも、店長はすごく厳しいというか、理不尽な人で、新しく入ってきたアルバイトの人がすぐ辞めてしまうことがよくあって、ちょっとしんどいです。

ブラックなんだね……。

そう! 基本人手が足りなくて、店長が理不尽なことで怒っていて、職場の空気はあまりよくないかな。だから事務所が汚いの。
これからアルバイトをする子は、面接のときに事務所をよく見ておくとよいかも。事務所が汚いってことは、整理整頓する余裕のある人がいないってことだから。

それはそうかも。私のところは高校生バイトが多くて、バイト先の人たちとは気楽に話せるので、人間関係にはあまりストレスはないですよ。

大学受験をするとなると、いつバイトを辞めるか考えないといけないよね。僕は今のバイト先は楽しいから続けたいけれど、さすがに入試が近くなるとバイトをしている場合ではなさそう。秋まではやろうと思っているけど。

私は専門学校にAO入試や指定校推薦で入りたいと思っているので、夏休み頃から何とかシフトを減らしてもらおうと思ってる。
店長からは「進学するってことは、まだ数年は続けられるよね?」と念を押されているけれど、進学したらバイト先は変えるかも……。

私は高校を卒業したら就職するので、就職活動中は休ませてもらえるように店長にお願いしてあるよ。「忙しくてヘルプで来てほしいときにはLINEするね」と言われているから、たまに入るかもしれないけれど。
テスト前も含めて、臨機応変に対応してもらえるから助かります。

放課後は何かしらの用事が入っているというTさん

高校生のリアルなお金事情は……?

アルバイトでは月にどれくらい稼げるのでしょうか? 稼いだお金はどう使っていますか?

僕は5〜6万円ですね。友達と食事や遊びに行くのに使うことが多いです。

私は2〜4万円くらい。学校帰りに友達と買い食いしたり、好きなアイドルのグッズを買ったりするのに使うことが多いです。高校での友達づきあいって、スイーツ店やファミレス、カラオケなどに行くことが多いので、やっぱりお金がかかるんですよね。

お金がないからって毎回断るのもつらいし。だからバイトをしていて良かったです。少し貯金もできているので、それは車の免許をとるのに使いたいと思っています。

私は月7万円くらいかな。

ええっ、それは多い!

人手不足でシフトは週4〜6日、土日は午前中から夜まで1日働いていることもあるから……。使い道は、友達づきあいの他には自分のスマホ代、通学定期券代。それから親に毎月1万円渡しています。

家にもお金を入れてるんだ、すごいね!

長くバイトしていると、時給も上げてもらえたりするよね。

そう、高校生だから最低賃金からのスタートだけど、少しずつ上がってきてる。いろいろなことに使っても、少しずつ貯金もできてるよ。

あと、バイトを始めてから節約意識も高まったかも。何か買いたいものがあっても、「これ、バイト3時間分か……」と思ってやめることが増えてきました。

わかる、価値に見合うか考えちゃうよね。お金の大切さを学べている気がする。

好きなアイドルのCDでも、ぐっとこらえてしまうというYさん

バイトを通じて成長し、将来の選択肢を広げよう

では最後に、これからバイトを始めたいと考えている人たちにアドバイスをお願いします。

高校生活を充実させたいなら、アルバイトはやっておいたほうがいいです。友達と遊ぶのにもお金が必要になるから。
たくさんシフトを入れて稼ごうとしなくても、ほどほどで足りるので、挑戦してみてほしいです。思ったよりも難しくないですよ。

僕はバイトはやって損はないと思っています。
お金が稼げるだけではなくて、年齢や立場が違う人たちと出会う機会になるし、「自分はこういう仕事は向いているかも」「これはムリ」など、経験の中から自分の向き不向きがわかって、将来を考えるヒントもたくさん得られます。

学校の友達や家族だけではなく、また別の場所に相談できる人がいるというのも気持ちが楽になるし、視野が広がります。

打ち込みたい部活があるわけでなく、自由な時間があるなら、お金を稼ぎながら社会とつながることができるアルバイトはおすすめ。学校外の人間関係を広げることは、自分のこれからの人生を広げることにもつながっていくと思います。

そういえば僕、アルバイトをしたことで人見知りが治りました! 嫌でも接客でしゃべらなくてはいけないから。「新作商品が出たのでいかがですか」など、自分から話しかけるのも苦ではなくなりました。

私はその場の状況を読んで、自分からどんどん積極的に動くことができるようになったと思う!

仕事をしながら成長させてもらえるので、ぜひやってみてください!

みんな楽しんでいるみたいで良かったです。今日はありがとうございました。

<取材・文/大西桃子>

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この記事を書いたのは

大西桃子

ライター、編集者。出版社3社の勤務を経て2012年フリーに。月刊誌、夕刊紙、単行本などの編集・執筆を行う。本業の傍ら、低所得世帯の中学生を対象にした無料塾を2014年より運営。