通信制高校の先生はどんな存在? 身近な大人だからこそ生徒たちに願うこととは
生徒・先生の声
通信制高校
2014/08/05
通信制高校の先生は、普段どんなことを思いながら生徒さんと接しているのでしょうか?
一ツ葉高等学校のバーベキューにお邪魔しながら、まずは生徒のみなさんに、先生の印象を聞いてみると…
- 「先生と生徒の距離がない」
- 「先生はやさしいし、おもしろい」
- 「くだらない話も一緒にできるけど、叱ってくれるときは叱ってくれる」
うーん、みんな先生のことが好きなんですね!
でも、実際にどんな先生がいるのか知りたい。そんな方のため、一ツ葉高等学校・立川キャンパスの先生にじっくり語っていただきました。
コミュニケーションの幅を広げていろんな人と関われるようになってほしい
●お話を伺った人
一ツ葉高等学校 教員
一ツ葉のオリジナルカリキュラムである「ソーシャルスキル科目」の教材づくりに携わり、現在は教材開発+指導も担当する。
※ソーシャルスキル科目とは?
家族、友人、社会、いろんな対人関係をよりよくする技術(コツ)を身につける科目。例えば「話の聞き方」「カドのたたない断り方」「予想外のことが起きたときの適切な対応」など、日常のあらゆる場面で起こりうる問題の解決方法を考えながら学ぶことができる。
── 先生から見た一ツ葉高校の生徒さんはどんな様子ですか?
本山先生「キャンパスごとに色はあるんですけど、立川キャンパスにはわりとシャイな子が多いですね。最初はお昼ごはんとかも、僕ら教師が会話のつなげ役みたいになって、生徒と一緒にごはんを食べたりすることもよくあります。
以前は、がっちり”元気系”のタイプのヤンチャな子も結構いましたけど、最近はどちらかというと少ないかな。キャンパスの方針が何か変わったというわけではないですが、今は比較的おとなしい子や、元気だけどヤンチャまでいかない子たちの方が割合として多いです。だからといって、がっちり”元気系”のタイプの子が来ても、居づらい環境ではないと思いますけどね。
どうしてもクラスがあると、そこに居なくてはいけない時間があって、それがツライという生徒が多いんですけど、うちはクラスがない分固定化されないので、そういうところが居やすい環境だ、ってよく生徒の口から聞きますね。
それぞれが仲のいい子たちと一緒に居たり、ときには大勢と居たりという具合で、居心地の良い場所を見つけやすい環境だと思います」
── 生徒さんと接する時に気をつけていることはありますか?
本山先生「いろんな生徒がいるので一概には言えないと思うんですが、大人とか先生に対してポジティブな思いを抱えていない生徒が多いので、会話のきっかけは自分自身がなるべく増やすようにしています。
うちの場合だと、入学時の面接のときにいろんな話をするので、その時、例えば『趣味は?』という話を振って、そこからまず自分がいろんな話をできるようになった上で、同じような趣味の子たちとつなげるようにしてみたりしています。
なるべく一人ひとりの人柄・好みを見つつ、一番合いそうな子をまずは引き合わせるようにして、最初のとっかかりを作るようにしてます。ある程度時間がたてば、あとは自分たちでやるんでね。最初だけね。
あとは、20代、30代の先生も多いから、年齢が近い分、距離が近くなりすぎないようにも気をつけています」
── 前の学校をやめた生徒さんには「先生が嫌でやめた」という人が結構いるとお聞きしました
本山先生「全日制の先生の場合、一人で大勢をみないといけない分、一人ひとりに目が行きづらいでしょうから、『先生が嫌』という状況になる可能性は高いかもしれませんね。その点、うちの場合は先生一人で見る人数も少ないから、そういうことが起こりにくい環境だとは思います。
お昼休みやそれ以外の休み時間など、職員にも『生徒に積極的に関わって、細かい関係作りをしていってください』と言って、コミュニケーションを増やしていますね」
「やるべきときはやりなさい!」という思いでやってます
── 生徒にこんな風になってほしい、例えば考え方や姿勢など、なにかイメージはありますか?
本山先生「”通信制”というだけで良くないイメージを持たれることもあるので、やるとこはやって欲しいなって常々思っています。
授業中でいうと、全日制だと寝てる生徒とか、全く別のことをしてる生徒とかもいるかもしれないんですけど、『授業をやるときは、授業をしっかり受ける』『さぼれる状況でも、さぼっていいとは思わない』『当たり前のことを当たり前にやる』 そういうことを伝えています。
あとは、せっかく通信制高校なんだから、普段出会えないタイプの子と関わる機会もあるので、そういう意味でコミュニケーションの幅を広げて、いろんな人と関われるようになって欲しいですね」
── 最後に、先生から見た一ツ葉高校とは?
本山先生「”アットホーム”という言葉がいちばんぴったりですね。
よくある堅苦しい『学校』にはしたくない、それが嫌でうちに来た子もたくさんいるんでね。
校舎も『学校』っぽい雰囲気にはしていないんです。生徒との間には、近すぎず離れすぎず、変な距離感を作らないようにしているからか、卒業した生徒がときどき校舎に来たりして、すごく長居したりもするんですよね。そういうのを見ていると、居やすい場所を作れているんだなって思っています」
おわりに
前の学校の先生と合わなくてやめてきた生徒さん、前の学校の教室が居心地悪くてやめてきた生徒さん、他人と関わることが苦手な生徒さん。いろんな事情を抱えて一ツ葉へたどりついた生徒さんたち。そこには、その一人ひとりの個性を理解しようと努力しつつ見守ってくれている先生がいました。
取材中は生徒さんからイジられるシーンも多く、先生は友達であり、頼れる兄貴でもある。でも時には叱ってくれる親のような存在でもあるのかな、と感じました!
取材協力
一ツ葉高等学校
この記事を書いたのは
通信制高校ナビ編集部