【通信制高校生の1日】勉強時間はどれくらい? 趣味やバイトはどうしてる?
生徒・先生の声
通信制高校
2020/12/07
通信制高校の魅力のなかに、勉強する時間、友達と遊んだり趣味に没頭したりする時間、アルバイトをする時間などを自分で自由に組み立てられることがあります。
学校の勉強以外にやりたいことがある人や、体調に合わせて勉強したい人などにはとても学びやすい環境!
ダイバーシティ(多様性)が求められる時代に適した教育システムとして、このところ人気も高まってきています。
一方で、自由にスケジューリングができるからこそ、うまく管理ができないと大変な思いをすることも……。
では、実際に通信制高校に通う高校生たちは、どのようにスケジュール管理をしているのでしょうか?
今回は3人の生徒さんに、1日の過ごし方を聞いてみました!
計画にとらわれすぎず、体調によって柔軟に予定変更
1人目の通信制高校生は、もともとは全日制の高校に通っていたという18歳の「とげた。」さん。
「全日制高校ではダンス部の活動がかなり忙しかったこともあって、勉強との両立が難しくなり、体を壊してしまいました。それで単位の修得が難しくなってしまい、先生に勧められた通信制高校に転入しました」
現在通っている通信制高校では、校内清掃などの特別活動が月に一度ほどありますが、今年は新型コロナウイルスの影響でスクーリングはすべて中止となり、代替えとして課題が出されているそうです。
体調によって1日の過ごし方には波があるそうですが、調子の良い日のとげた。さんの1日は以下のようなスケジュールとのこと。登校は自由なので、調子がよければ学校へ行くそうです。
<とげた。さんの1日>
- 6:30 起床
- 7:00 朝食、父の見送り → 自由時間
- 9:00 図書館で勉強
- 12:00 昼食 → 自由時間
- 14:00 登校
- 16:00 下校 → 自由時間
- 18:00 入浴
- 19:00 夕食
- 21:00 就寝
「全日制高校に通っていたときには部活・勉強・友人関係に日々追われて必死でしたが、通信制高校に転学したことで、ゆっくりと自分の今後について考える余裕ができました」
そう話すとげた。さんは、オン・オフのメリハリをつけるために図書館を利用するなどの工夫もしているそう。
スケジューリングのコツは、ずばり「ハードルを低くすること」だそうです。
「以前は、毎朝早く起きて何時間も勉強して……という素晴らしい計画を立てたものの、途中で挫折してしまうことがよくありました。そこで、ハードルを低くして、朝起きるのが遅くなってしまったとしても、そこからできるだけ勉強をすればOK、としました。そうすることで心が楽になり、勉強時間も増えて、良い方向に向かっている気がします」
自分の体調やペースに合った計画を立てて、計画通りに行かなくても柔軟に時間調節をすることができるのは通信制高校ならではと言えるかもしれません。
自由に時間を使えるけれど、留年には気をつけて!
2人目の通信制高校生は、19歳の「高校2留トーモ」さん(以下トーモさん)。中学3年の秋に勉強に挫折して不登校となり、そこから通信制高校に入学するも、年5回のスクーリングに行かなかったことで2回留年しているトーモさんですが……。果たしてどんな1日を過ごしているのでしょうか?
<トーモさんの1日>
- 10:00 起床、そのままベッドの中でスマホ片手に自由時間
- 12:00 昼食
- 12:30 学校の課題や自由時間
- 18:00 夕食
- 18:30 入浴
- 19:10 自由時間
- 23:00以降 就寝
昼食から夕食までの時間は、デスクにあるパソコンとベッドを行ったり来たり。パソコンで学校の課題をこなしたり、ベッドでスマホを触ったりして過ごしているそうです。
通信制高校に入ったことで「自分のペースで趣味や勉強を進められるのがよかった」と話すトーモさんですが
「留年すると、将来が不安で眠れなくなったり精神的に不安定になったりするので、これから通信制高校を目指すみなさんには、留年だけは気をつけてほしいですね」
とも。
今のスケジュールの改善点を聞くと、「無駄な時間を過ごしていることが多いので、アルバイトなど有意義なことに使いたいです」と返ってきました。
また、スケジューリングのアドバイスについては前出のとげた。さんと同じように、ゆるめに考えることがポイントになるようです。
「きっちり計画してしまうと、それに追われることがストレスに感じてしまうので、やる気が出たときにやって、なくなったらやめるのがうまくいくコツだと思います」
やる気が起きたタイミングできちんと動くことが大切ですね。
授業時間が少ない分、受験対策に時間を使えるのもメリット
3人目に登場するのは、「せご(元不登校)@通信制高校生」さん(以下せごさん)、高校3年生です。せごさんも高校1年生の間は全日制高校に通っていましたが、自律神経の病気「起立性調節障害」のために単位が足りなくなってしまい、確実に進級するために通信制高校に転入したそうです。
スクーリングは毎週水・木曜日の2回で、火・金曜日は自宅でオンライン授業があるとのこと。
まずはスクーリングのない日のスケジュールを教えてもらいました。
<せごさんの1日>
- 6:00 起床
- 7:00 朝食
- 7:30 パソコン作業
- 8:30 勉強
- 11:30 昼寝
- 12:00 昼食
- 12:30 SNSの更新準備
- 14:00 昼寝
- 15:00 自由時間
- 18:00 夕食
- 18:30 入浴
- 19:00 作業や会議
- 22:00 自由時間
- 23:30 就寝
登校日の場合は、同じ6:00に起きて、8:30から少し勉強をして9:15に登校。15:30に帰宅したら17:00まで昼寝をしているそうです。また、学校の帰りには友達と遊ぶこともあるとのこと。
午前中に体調がよくないことのあるせごさんにとって、通信制高校の授業ペースは体にも負担が少なく、無理なく学べる環境だと言います。来年からは、指定校推薦で大学に進学をする予定だとのこと。
勉強のやり方についてはこんなアドバイスをくれました。
「自分で勉強のスケジュールを立てないといけないのは大変ですが、逆に言えば自分の勉強に最大限時間を使うことができます。ネットで情報を集めて勉強を開始し、模試にも積極的に挑戦、その点数を見てできていないところを改善していくやり方がおすすめです。学校の授業が少ない分、参考書に取り組む時間などに回すこともできます」
大学などへの進学を考えている人も、受験対策に特化した勉強時間を確保できるというメリットを活かせるのが、通信制高校の魅力だとせごさんは言います。
通信制高校への入学や転入を考えているけれど、その先の進路が不安……という人もいるかもしれませんが、通信制高校だからこその利点を活かして有効に時間を使えば、希望する進路に進むこともできるはずです。
スクーリングの頻度も1日の時間の過ごし方も三者三様でしたが、それぞれのペースに合わせて時間を自由に使えるのが通信制高校。
やりたいことや目指すものがあれば、そこに時間を思い切り費やせるのもいいですね。 ぜひ参考にしてみてください!
<取材・文/大西桃子 >
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この記事を書いたのは
ライター、編集者。出版社3社の勤務を経て2012年フリーに。月刊誌、夕刊紙、単行本などの編集・執筆を行う。本業の傍ら、低所得世帯の中学生を対象にした無料塾を2014年より運営。