自分で行動を起こすことが自然に身についていた【飛鳥未来高校卒業生インタビュー・前編】

生徒・先生の声

通信制高校

2016/01/08

通信制高校の卒業資格は、全日制の高校と全く同じ。

そのため、高校卒業後には、大学、短大、専門学校への進学、就職と、さまざまな道に進むことが可能です。最近では、4年制大学への進学希望者も増えているようですが、通信制高校を卒業したからこそ大学生活で活かせる強みや、良かったことはあるのでしょうか?

今回通信制高校ナビでは、飛鳥未来高等学校 池袋キャンパス卒業生の山井さん(仮名)と、同キャンパスの野崎先生にお話を伺うことができました。

山井さんは在校時にもインタビューに答えてくれています!
通信に行く自分を認めたくない そんな気持ちが180度変わった【卒業式潜入レポ1】

当時の山井さんは、クラスでたった1人、一般入試で大学受験することを選択し、大好きな友達と距離を置いて勉強に取り組んでいました。それから1年経った今、大学生活を送る現在のこと、高校生活を振り返って思うことなどについて、野崎先生と対談してもらいました!

大学受験の頑張りを無駄にできない

●お話を伺った人

山井 華さん(仮名)
私立中高一貫校から飛鳥未来高校へ転入。平成24年度に3DAYコースを卒業し現在は帝京大法学部在籍。

野崎先生
飛鳥未来高校 池袋キャンパス
国語科 教員

野崎先生「高校卒業して1年経つけど、大学生活はどう? 順調?」

山井さん「ちゃんと2年生に進級できましたよ(笑)
大学受験の時ものすごく勉強を頑張ったから、例えば今サボるにしても、あの受験勉強の頑張りが無駄になっちゃうって思うと、頑張って授業を受けようという気になりますね」

野崎先生「一般入試で頑張ってよかったね。その頑張りって気付かないうちに身になってるよね」

山井さんあの頃は勉強するのも、友達と遊ぶ時間がなかったのもすごく辛かったけど、今は頑張ってよかったなって思えます

野崎先生「大学の授業は難しい? 法律の勉強はどう?」

山井さん「必修は難しいです。民法とか。試験は高校までと違って論述が出てくるんです。選択問題だとわりと大丈夫なんですけど…。自分で書かなきゃいけないのは本当に大変でした」

野崎先生「そっかー、大学の勉強はなかなか大変そうだよね。生活リズムも高校とかなり変わって大変じゃない?」

山井さん「自分の甘えを許したら全てがくずれてしまうみたいな危機感はあります。一度甘えたら大学って行かなくなったり、単位も落としたりってできてしまう場所でもあると思う。単位一個くらい落としたって来年取ればいいやってなるんですよね。そういう点で、高校の時より意志の強さが必要になりました。

大学は自分が行こうが行かまいが、誰も連絡なんてくれないから、生活リズムをちゃんと自分で守んなきゃなって。高校の時みたいに甘えていられなくなりましたね。
自己管理の必要性を感じて初めて、飛鳥未来にいた時は管理をしてもらってたんだなって気付きました。飛鳥の先生って改めてすごいなって思ってます。生徒が何十人何百人いる中、『○○は登校したか』『単位がどれくらい取れたか』を把握して生徒1人ひとりを見てるわけじゃないですか。それだけでも飛鳥の先生はすごいなって痛感しました」

野崎先生「そうやって自分が今いる環境や、今までいた環境を冷静に見れるようになったことに成長を感じるよ。自分じゃ気付かないだろうけど、1年ぶりに会うと、すっごく成長したと思うよ」

自分で行動を起こさないと何も変わらない

野崎先生「大変なこともあるけど、大学には楽しいこともいっぱいあるでしょ?」

山井さん「人間関係が楽しいです! 大学は人がたくさんいるから、交友関係も広がるし。サークルとかでいろんな人に関わって、知らない人とも友達になれる。そういうのが楽しいですね」

野崎先生「飛鳥に入学した頃を思い出すと、そういうところもだいぶ変わったよね」

山井さん「飛鳥に入るまで、教壇の前で話すとか誰かの前で話すとか、絶対に無理だったんですよね。でも、学級委員をやったときにみんなの前で話すようになったり、最終的に卒業式の答辞も任されたり、そういう経験をして、すごく強くなれて。自分の意見を伝えたり、自分で行動を起こせたりするようになって、人前に出るのも恥ずかしくなくなりました。

飛鳥の3DAYコースにいた頃は、行事に参加しても自分の意思がないと何もできないし、何も始まらないから。自分で行動を起こすってことが自然に身についていったのかも。大学でもそのまま、『自分で行動を起こさないと何も変わらない!』って気持ちでいろんな人と関わるようにしてます」

こんなに自分が変われると思わなかった

野崎先生「高校の経験が少しでも役立ってるって言ってもらえると、感動しちゃうな」

山井さん「他にもありますよ! 周りに流されなくなったのも、飛鳥で身についたことだと思う。例えば、5人グループでいて、2~3人が授業をサボるって帰ってしまっても、『いや、私は帰らない』って、流されなくなったんです。そういうので流されるのが友達じゃないって思って

野崎先生「それは、たしかに飛鳥で学んだことだね。あのクラスでたった1人、一般入試で大学受験頑張るって選択したんだから。受験が終わってる人たちの中で勉強し続けるのってホント大変だったもんね。」

山井さん「そうですね、あの頃のメンタルに比べれば。今日1人で授業を受けることなんてどうってことないって思っちゃって(笑)」

野崎先生「あのとき、山井がみんなと距離置いて勉強を頑張ってた状況には、意味がめちゃめちゃあると思うんだよね。今そういう風に流されなくなったのだってそうだし、全ての経験は人生にとって意味があると思う」

山井さん「本当にあの受験を経験して良かったです。
長い時間をかけて受験勉強した自分の頑張りを失いたくないという気持ちができたし、あれほどツライこと(=受験勉強)は人生でそんなにないなって思ったら、今は割と何でも頑張れる自分がいて。バイトにしてもテストにしても、たかだか試験前の短い期間の勉強くらい頑張れるよ! って思えるんですよね」

野崎先生「受験は大変だったけど、そんな形で経験が生きてると思わなかった」

山井さん「中学を卒業したときは何もなく卒業したな~って感じだったんですけど、高校を卒業するときは受験で必死だったから、卒業したー! って実感が強かった。今振り返ると、メンタルも強くなったし、性格も前向きになったし、こんなに自分が変われると思わなかったです。人間って変わるんですね(笑)」

唯一弱さを見せられたのがここの仲間だった

野崎先生「3DAYコースで一緒だったみんなと、今も会ったりするの?」

山井さん「ちょこちょこ会ってますよ!」

野崎先生「そっか。先生から見ると、もうああいう仲間には出会えないと思う。すごい絆だなって」

山井さん「そうなんですよね、大学と高校とは友達が違うんです。でもどっちにもどっちの良さがあると思いました」

野崎先生「飛鳥の3DAYコースの絆は特別だよね。
山井は卒業式の答辞でも言っていたけど、『学校がちょっと休む場所だった』って。飛鳥の仲間は、自分の弱さを見せられる仲間なんだよね。
みんな飛鳥でだいぶ休んだから、進学先では普通に頑張ってるんだろうけど、ここの仲間たちは自分が弱かった時代に弱さを見せ合って休憩した場所で、お互いにどんな状況でも受け止め続けた仲間だからね。そこを見せられる仲間って、なかなかできないと思うし、できないことがいいことだと思う」

山井さん「確かに、高校時代は友達がなにげなく『あのときこんな弱ってたけど変わった(=良くなった)よねー』って言ってくれたりして。そういうの聞くと、この子は変わったところを見てくれてたんだなって嬉しくなったりしてました。そういうちょっとした優しさが伝わってくるし、なんでも受け入れてくれる気がするんですよね。飛鳥の仲間は

野崎先生「大学では、そういう弱さを見せれない関係になったことが成長なんだとは思うんだよね。みんなが成長して強くなって、弱さを見せない関係を築くようになったのはいいことなんだけど。唯一それを見せられたのがここの仲間だったっていうね。それはすごい絆だなって思うよ」

山井さん「やっぱ飛鳥が好き!」

野崎先生「今も飛鳥を好きという気持ちでいてくれたことを聞けて嬉しいな」

山井さん「むしろ深まります。もっと好きです(笑)」

おわりに

友達と距離を置いて受験勉強する日々は、精神的にすごく辛かったけれど、それを乗り超えたことで「周りの人に流されなくなった」「何でも頑張れるようになった」と笑って話す山井さん。

飛鳥へ転校してくる前は、人前で話すことが苦手だったけれど、飛鳥という学校や新しい友達、先生と出会ったことで、徐々に変わっていったそう。大学では、自分からどんどん交友関係を広げていくので、友達にも”行動派”と言われるとか。

そんな山井さんの変化を見ることができて、野崎先生も嬉しくてたまらない様子でした!

インタビューの後半も、ぜひご覧ください。

取材協力

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この記事を書いたのは

通信制高校ナビ編集部