実践から学ぶ! N高の 「プロジェクトN」中間発表に潜入してきた
生徒・先生の声
2017/10/25
9月13日、N高等学校 代々木キャンパスにて、生徒が自分で決めたテーマに沿ってプロジェクトに取り組む、長期実践型学習「プロジェクトN」の中間発表が行われました。
「プロジェクトN」ってなに?
プロジェクトNは、N高等学校・通学コースが特に力を入れている授業で、課題発見から解決策の検討、実行、成果発表までを1年を通して取り組みます。
ここでの活動を通して、「プレゼン力」「課題発見力」「協調性」「論理的思考力」「計画性」など、社会に出てから役に立つ実践的なスキルを身につけられるのだとか。
引用元:N高等学校ホームページ
ちなみにこの授業は高卒の単位認定教科ではないため、完全に自主性にもとづいて行われています。それでも生徒たちは、主に放課後の時間や日中の自由学習の時間、家に帰った後などそれぞれ空いた時間にプロジェクトを進めているとのこと。
もちろん、教員やTA(Teaching Assistant)と呼ばれる大学生スタッフがプロジェクトごとにつき、随時面談やコーチングを実施するフォロー体制があるほか、アドバイザーには、高校生のプロジェクト型学習を支援しているNPO法人カタリバのスタッフも参加するなど、フォロー体制はしっかりと組まれているようです。
なおプロジェクトNは任意参加ですが、現在参加できるのは通学コースの週5コース受講生のみ。代々木キャンパスでは24プロジェクト、大阪心斎橋キャンパスでは8プロジェクトが立ち上がっています。
※2018年4月には、横浜・大宮・千葉・名古屋にも通学コース開校予定
今回は、24プロジェクトが進行中の代々木キャンパスで、中間発表の様子を見学してきました。
プロジェクトN中間発表の様子をレポート!
プロジェクトNのスタートは6月。キックオフイベント「N高カイギ」にて、生徒たちは取り組みたいプロジェクトを立案しました。
プロジェクトの内容は、自習室の環境改善、N高のPRなど身近な課題をプロジェクトにしたり、商品開発や起業などビジネス目線のプロジェクトもあったり、生徒によってさまざま。個人のプロジェクトだけでなく、数人でチームを組んで活動するプロジェクトなど、チーム構成もそれぞれです。
そして、キックオフから約3ヶ月後である今回の中間発表では、午前中に生徒全員の前で発表する6チームを選出するための予選会が行われ、午後には、予選会で審査員に選ばれた6チームが、実際に生徒全員の前で再びプレゼンを行います。
プロジェクトN予選会の様子
予選会では6グループに分かれて、各グループ内でプレゼンを行いました。1プロジェクトの持ち時間は、プレゼン5分・質疑応答5分の計10分。
プロジェクトを聞く生徒は、「応援カード」に良かった点や面白かった点などを書いて、発表者にフィードバックします。
オーナーシップ・アクション・パッション・クリエイティブ・コラボレーション・ニーズ・表現スキルの7つの観点から、審査員となった教職員が総合的にグループを評価します。
そして、最後にグループで最も評価が良かったプロジェクトチームを選出し、午後の発表へと進みました。
プロジェクトN最終プレゼンテーション
最終プレゼンテーションのプロジェクトが発表されると、喜びの表情を浮かべる生徒や、驚きを隠せない生徒、残念がる生徒などで、場の空気が沸き立ちます。
選ばれた生徒たちは、みんな予選会の時よりも緊張している面持ちでした。
いざ最終プレゼンテーションとなると、その表情は一変。生徒たちは自信を持って堂々と発表し、中には楽しみながらプレゼンテーションを行っている生徒もいました。
表彰式
中間発表での最優秀賞は、障害者支援のための連絡帳を作成するプロジェクトでした。
自身が「困った」を言えなかった経験から、「困っている人が助けを求められるようにする」を最終目標にしたそう。
今後は、心療内科や精神科の病院に協力してもらいながらプロジェクトを進め、子ども・親・先生の3者間で交換日記のようにコミュニケーションがとれる連絡帳を作成する予定なんだとか。
続いて2位に選ばれたのは、VRを使って音楽を可視化するプロジェクト。3位はN高の良さをPRするプロジェクトでした。
審査員の先生によると、どのプロジェクトも本当に素晴らしいプレゼンで僅差だったそうです。
発表会の最後には、奥平校長から生徒たちに激励の言葉がありました。
「プロジェクトNでひとつのものつくっていく考え方や流れを学んでください。決して中身の良し悪しではない。これからは知識ではなく、知恵と好奇心を持つことが必要で、今後も役に立つでしょう。N高等学校の取り組みは世界的にも注目されています。N高生であることを、みなさんも誇りにしてください」と話しました。
最大1000万円の支援金も!
12月に行われる最終審査会では、すべてのチームがプレゼンを行います。ここでは学校法人角川ドワンゴ学園理事の川上量生氏や、実業家の堀江貴文氏が選考委員として審査することが決まっています。
そこで選ばれた優秀なプロジェクトチームには、最大1000万円の起業支援金が提供されるそう。それを元手にサービスを立ち上げることや、事業として拡大することも可能! 高校生のうちから、大きなビジネスチャンスを手に入れることも夢ではありません。
また、3月にはNPO法人カタリバが主催している「マイプロジェクトアワード」というプロジェクトの全国大会があるのですが、N高等学校から何組出場できるかというのが、ひとつの目標になっているそうです。
おわりに
プロジェクトが始動したのは、6月初旬。中間発表までにわずか3ヶ月しかない中で、生徒たちは頑張ってプロジェクトを進めていました。
今回代表に選ばれなかったプロジェクトにも、ドローンを使った水難救助や、和式トイレを洋式トイレに変える便座の開発など、高校生が考えたとは思えないほど、壮大なプロジェクトがいくつもありました。12月の最終審査会では、より一層成長した生徒の姿を見られるだろうと、今から期待が高まります。
次回は、「自分を変えたい」との想いからプロジェクトNに参加した生徒さんや、中間発表で最優秀賞を受賞した生徒さんへのインタビューをご紹介します!
取材協力
学校法人角川ドワンゴ学園 N高等学校
この記事を書いたのは
通信制高校ナビ「リアル通信制」編集部