2014/11/26

不登校支援のモットーは「学習のサポートをして、学力から自信を持ってもらう」

通信制高校 

不登校・引きこもりが深刻な問題となっている昨今。
文部科学省が2014年8月に発表した学校基本調査によると、小中学生の不登校は7千人増の約12万人となり、6年ぶりに増加したことが分かりました。

一方、平成18年度不登校生徒に関する追跡調査報告によると、前回調査と比べ、不登校経験者の高校進学率が大幅に増加(65.3%→85.1%)、高校中退率は大幅に減少(37.9%→14.0%)という結果が出ていることから、不登校後の高校進学がメジャーな選択となっていることがわかります。これは、不登校生を受け入れる体制が整った高校が増えてきたからと言えるのではないでしょうか。

NHK学園高校には現在、不登校の生徒やさまざまな理由で自宅から出ることが難しい生徒が在籍しています。
一体どんなサポートを行っているのか、自宅訪問や不登校生徒のための「Do Itコース」についてを調査していくうちに、「不登校の生徒にも学習の機会を与えたい」そんな先生たちの真剣な想いが見えてきました。

  • 高校なのだから、学習サポートを通して、自信を持ってもらうこと
  • 自宅訪問といっても場所はさまざま。自宅の近くで試験を受けることもできる
  • Do Itコースには、高校に必要なことがすべて詰まっている

参考:
2013年度 学校基本調査
平成18年度 不登校生徒に関する追跡調査報告

高校なのだから、学習サポートを通して自信を持ってもらいたい

NHK学園高校の不登校支援のモットーは
「高校なのだから、学習をサポートして学力の面で自信を持ってもらう」

高校の学習をしっかりと修得することで自信を持ってもらう。それを達成するためのサポートを中心に行っています。
それは、学習の達成感を通して“不登校の自分でもきちんとできた”と実感して、自信を積み重ねてもらいたい、そんな想いが込められています。

学校の先生は、カウンセラーや臨床心理士などの専門家ではないのだから、生徒の病を改善させてあげようとすると失敗する可能性がある。だったら、学校ができることはなんだろう?と考えたとき、それは「学習サポートを通して、自信を持ってもらうことだ」という考えに至ったそうです。

生徒が入学すると、生徒の病や悩みを理解することからはじめ、その上で、高校卒業と学習をしっかりと達成すためにどう対応するのがベストか、どういう風に高校生活を過ごしてもらうのがベストか、それを教育カウンセラーや担任の先生が相談しながら考えていくのだそう。

自宅訪問といっても場所はさまざま。自宅の近くで試験を受けることもできる

学校に通うことが難しい生徒には、教科担当の先生が訪問指導を行っています。指導内容は、学習指導やカウンセリング、試験など、生徒の要望に応じて、自宅だけでなく、自宅近隣の場所(図書館やカフェなど)で指導することもあるのだとか。

その指導内容を単位にすることで生徒の励みになるのなら、単位にすることもあるんだとか。
ただ、きちんと教室で授業を受けることを文部科学省が単位修得のルールとしているため、時間をかけてでも自宅指導の生徒が教室で他の生徒と一緒に授業を受けられるようにしていくことが最終目標となっています。

訪問指導を行う先生たちは、「次はスクーリングに来てね」という想いで出向く。その指導を受ける生徒たちは、「いつかは教室に行って勉強したい」という想いがある。

そうして想いが通じ合っているからか、自宅訪問をしていた生徒も卒業までに必ず1回は教室に来ているんだそうです。

Do Itコースには、高校に必要なことがすべて詰まっている

不登校の生徒を対象としている『Do Itコース』は大勢の人のいる空間が苦手な人や外出が難しい人を対象に、「自宅からはじめよう」というコンセプトのもと立ち上げられました。
インターネットで授業を受けられるため、好きな時間に好きな場所で勉強ができるコースです

ただし、文部科学省との約束で、“各教科、1回は必ず生徒に会う”という決まりがあるので、ネット上でスクーリングを済ませることはありません。ネットで授業の指導をすることはあってもスクーリングとしてカウントはしていません。

実際、生徒たち自身が「学校に行って授業を受けたい」という想いが強く、必ずどの生徒も卒業までに1回は学校に来るんだそう。

ただし、自宅訪問とはちがって、Do Itコースの場合は、学校に来ることを最終目標とはしていません。学校に来ることではなくて、きちんと高校の勉強を積み上げることを重視しています。

だから、学校に来たくない人は最低限来てくれれば大丈夫。
学校に行けないことで「自分は何もできない」と思うのではなく、「やらなきゃいけないことはきちんとやっている」と思って欲しいと、先生方は生徒に伝えているのです。

なお、当たり前ですが、Do Itコースの生徒も受け取る卒業証書はそのほかのコースの生徒たちと同じなので、学校に来ること自体は少ないけれど、高校でやならければいけないことをやらずに卒業できるようにはなっていません。

おわりに

「Do Itコースの生徒はほかの生徒と登る道が違うだけで、頂上は同じ」
という先生の言葉が忘れられません。

学校に行くのが辛い…でも、学校に行って勉強がしたい! と思っている生徒さんは少なくないはず。NHK学園高校の不登校支援は、そんな生徒さんの1歩を踏み出すきっかけづくりとなるでしょう。

3年間できちんと卒業できる子もいるけれど、卒業まで3年以上かかってしまう生徒もいるそうです。けれど、みんなNHK学園高校で学んだこと、身に付けたことを糧に、前に進んでいっているはず。
卒業生の中には自分と同じような境遇の在校生のために、「何とか手助けしてあげたい」という思いから、自らイベントを企画してくれる人もいるんだとか。

「高校だから勉強のサポートしかしない」ではなく、「高校だからこそ、勉強のサポートをしてそこから自信を取り戻してもらう」というNHK学園高校の不登校支援は注目です。
他にもこのような支援を行っている通信制高校はたくさんありますので、ぜひ探してみてくださいね。

この記事を書いたのは

通信制高校ナビ編集部

 
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