ひきこもり・適応障害から学校行事の常連に 鹿島学園 先輩インタビュー

生徒・先生の声

通信制高校

不登校

2017/06/20

1人でいた方が楽。そんな風に思うことはないでしょうか?

入学した通信制高校での体験を通して、自分でも実感するくらいにこの考えが変わったという生徒さんがいました。

●お話を伺った人

福田さん
中学卒業後、鹿島学園高等学校へ入学
2017年3月 卒業

高校入学前から福田さんを見てきた、鹿島学園高等学校の伊藤先生は、「最初は会話が成立しないし、目も合わせてくれなかった」と教えてくれました。

「入学前の3者面談で、私(伊藤先生)は福田くんを見て話してるんだけど、福田くんはお母さんを1回間に挟んでしか話してくれなかったんです。でも、1年後には宿泊の校外学習にも参加できるようになって、印象がガラっと変わりましたね」

先生も驚く変化を遂げた福田さん。いったい学校生活の中で、どんな影響を受けたのでしょうか。

人と会うのが嫌 ひきこもりだった中学時代


── 通信制高校に行こうと思ったきっかけはなんですか?

福田さん「中学生の時は、適応障害になりかけたこともあり、人と会うのが嫌でひきこもりがちだったんです。でも、漠然と『高校には行かないと』と思っていました。
そんなとき、3年生の時の先生が進学先を色々と探してくれて、通信制高校を知りました。定時制は一定数の人と必ず会わないといけないじゃないですか。だったら、毎日行かなくてもいい通信制高校の方がいいかなと思って、通信制に決めました」

── 鹿島学園高等学校(以降 鹿島)を選んだのはなぜ?

福田さん「鹿島の他にも2・3校オープンキャンパスに行きましたが、鹿島が自宅から近くて通いやすかったからです」

外で笑えるようになった宿泊研修での出会い

キャンパス長の伊藤先生と福田さん

── 伊藤先生が、福田さんは入学当初と途中からでは、ガラッと印象が変わったとおっしゃっていましたが、福田さんの中で何か変化があったのですか?

福田さん「宿泊研修に行った時のルームメイトと、趣味が似ていたことからすごく話すようになったんです。それがきっかけで、外でも笑えるようになった気がしますね

── その友達との出会いがきっかけだったんですね。学校での一番の思い出はその体験でしょうか?

福田さん「それも印象的だったんですが、僕はかなり色々な行事に参加していたので、思い出がたくさんあって1番は決められないですね。行事は最低限参加しないといけない回数が決められているんですが、僕はその数の倍くらい参加していたので、行事の9割は参加していたと思います(笑) 学校での行事がすごく楽しかったんですよ」

1人の時間だけじゃなく『こっちもいいな』と思った

── 人に会うのが嫌だったというのが信じられませんね。福田さん自身は中学時代や入学当初と、ここが変わったなと思う部分はありますか?

福田さん「前は1人でいた方が楽だったけど、今は外に出ることが好きになりました。中学生の時は、自分の部屋にこもってずっと本を読んだりテレビを見たりしていて、出かけるのはどうしても欲しい物がある時だけ、って感じでした。でも今は、特に用事がなくても遊びに行こうかなーと外に出掛けるようになりましたね。
昔の自分は極度の恥ずかしがり屋で、人と話すことがすごく苦手だったんです。でも鹿島の友達と話したりしているうちに『こっちもいいな』って。外に出たいなって思うようになりました

── 人といるのもいいな、という気持ちに変わったんですね。卒業後はどんな道に進むのでしょうか?

福田さん「作業療法士の専門学校に進学します。もともとマッサージをするのが好きだったのと、色々調べているうちに、作業療法士が身体も心もケアする仕事だと知り、かっこいいなと思って進路を選びました」

── ありがとうございました! それでは最後に、学校選びに悩んでいる中学生の方にメッセージをお願いします。

福田さん「一回冷静になって、自分が何をしたいのか、どうなりたいのかを考えてみて欲しいです。そうすると頭が真っ白になっちゃうって人がいるかもしれないですが、考えないのはダメだけど、考え過ぎるのも良くないので、まずはとにかくリラックスして。リラックスできた時に、何がしたいっていうのが浮かんでくるんじゃないかなと思います」

編集後記

入学前の3者面談では先生と直接話しもできなかったという福田さんですが、通信制高校という環境や趣味の合う友人に出会えたことで、高校生活を楽しみ、将来のことを自分で決められるように変わっていったんですね。

環境が変わることで、自分自身も変わるということは少なくありません。今の自分を変えたい、と思う気持ちがあるなら、環境を変えてみるのも1つの方法かもしれませんね。

(取材・文 北澤愛子/クリスク)

取材協力

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この記事を書いたのは

北澤愛子
通信制高校ナビ 編集長
中学時代のいじめ経験から、学校のシステムに疑問を持つ。株式会社クリスクにて不登校経験者や通信制高校への取材・コンテンツ発信を行う他、朝日新聞主催イベントへの登壇、AbemaTV「Wの悲喜劇」などにも出演。