高校生が起業? N高の「起業部」始動に立ち会ってきた!
生徒・先生の声
2018/03/20
2月某日、銀座松竹スクエアにて、N高等学校(以下、N高)の「N高起業部」設立記者発表会と特別審査会が行われました。
ただし、「N高起業部」といっても、N高の生徒なら誰でも入れるというわけではなく、N高の通学コースで行われているプロジェクト型学習「プロジェクトN」に取り組んできた生徒のうち、特別審査会の審査を突破した生徒だけが入部を許される狭き門です。
一体、特別審査会とはどんな会なのか、起業部ではどんな活動が行われるのでしょうか?
N高起業部ってどんなもの?
「N高起業部」とは、その名の通り、生徒たちが起業を目指す部活動です。
高校卒業後の選択肢が進学と就職で二分化している昨今、高い志をもつ高校生にふさわしい、新たな選択肢は「起業」。
そう考えるN高から、起業におけるさまざまなサポートを受けながら、実際の「起業」に向けて活動していく「起業部」が誕生しました。
起業部では、部の活動費として年間最大1,000万円の起業支援金が用意され、ビジネスの本質や、具体的な資金調達方法まで幅広く学びます。現役の起業家による特別講義も実施予定なのだそう。
半年間かけたプロジェクトで入部試験!
入部できるのは7チーム中、5チームのみ。代々木キャンパスと心斎橋キャンパスの生徒が起業部への入部資格をかけて、プレゼンテーションを行います。
特別審査会にエントリーした7チームは、この1年、長期実践型プロジェクト型学習「プロジェクトN」に参加してきた生徒たち。多種多様なプロジェクトの中から、学習としてのプロジェクトを経て、起業や事業化を目指したいという気概のある生徒たちがこの日集いました。
発表時間は1チーム4分間。
審査員を務めるのは、学校法人角川ドワンゴ学園理事の川上量生氏、株式会社ドワンゴ 取締役 夏野剛氏、そして特別ゲスト審査員は、ホリエモンでおなじみの実業家 堀江貴文氏の3名。
「ビジネスの可能性」と「社会貢献の可能性」を基準に審査していきます。
プロジェクトの内容は、障がい者支援、VRの活用法、シェフが訪れるお店を探せるサービス、和式・洋式トイレの両立化計画、LGBTの理解、など多種多様で、ユニークなものばかりでした。
審査員の前でのプレゼンに、生徒たちは緊張している様子です。
質疑応答の際、審査員からは、起業や商品化に向けたアドバイスのほか、「すでに似たような商品、サービスがある」「マネタイズのイメージができない」など辛辣な意見も……。
審査の結果、代々木キャンパスから3チーム、心斎橋キャンパスから2チームが、起業部の初代メンバーとして発表されました。
結果発表の後、審査員の川上氏、夏野氏、堀江氏3名は、生徒のプロジェクトをどう評価したのでしょう?
初代・起業部入部者のプレゼン、プロはどう評価した?
川上量生氏
「今日のプレゼンだと、起業するのは非常に厳しいものだと思う。起業は一人でやるものではなく、世の中のいろんな人に助けてもらわなければ成功できないもの。そのために大切なのは他人をどう説得するのかということ。自分が何をやりたいのか説明できること、それに対して実際に努力をしていること、それを他の人にちゃんと伝えることができるのかが重要。現状に満足することなく、頑張ってほしい」
夏野剛氏
「先行事例がどれだけやっていて、どの隙をついていくのか。『この隙をついていったら絶対成功する。なぜならそこにはユーザーのニーズがあるから』という気迫があまり感じられなかった。誰のためのサービスなのか、使ってくれる人の気持ちにどれだけ立てるかということが重要。それを突き詰められていない商品は売れない。それを突き詰められるのが、高校生の今。使う人の立場に立った商品やサービスを徹底的に突き詰めて考えてみてください」
堀江貴文氏
「プレゼンの準備段階でプロトタイプなどは作ってほしかった。今のままだと、恐らくスモールビジネスにもならないと思うので、そこは改良してください。サイトを作ったり、プロダクトを作ったり、実際に動いていくと、途中でつまずくことがあると思うので、その際は最初のプランにこだわらずに別プランをすぐ考えるなど、柔軟に進めてみてください」
「失敗を恐れずに挑戦することが大切」
起業部設立にあたり、N高等学校の校長を務める奥平博一氏はこのようにコメントしました。
「N高等学校は、新しいものを作るだけでなく、自由な発想で主体的に取り組む姿勢を教育の中で大切にしています。昨今はインターネットで世界中のさまざまな情報が即座に取れますが、情報そのものだけでは価値を生み出せません。
その情報ごとに、自分なりの想像力をもって主体的に動くこと。そして何よりも挑戦する気持ちが大切なのです。高校生たちの、若くあふれる想像力を具現化してもらおうということでN高の中に起業部を作りました。失敗を恐れずに自分なりの考えと主体的な行動を貫き通してほしいです」
おわりに
プロジェクトNの中間発表会から何度か取材をしてきましたが、生徒たちのプレゼンテーションは、回数を重ねていくうち良くなっていると感じました。
審査員の3名からは厳しい意見もありましたが、高校生のうちから有識者にプレゼンを披露するという経験はなかなかできません。生徒たちにとって、良い機会になったのではないかと思います。
N高等学校には、起業部のように他では体験できないようなカリキュラムがたくさんあります。今は起業を考えていなくても、新しいことにチャレンジしてみたい方は、一度どんな学校か調べてみてはいかがでしょうか?
取材協力
学校法人角川ドワンゴ学園 N高等学校
この記事を書いたのは
通信制高校ナビ「リアル通信制」編集部