居場所がない、消えてしまいたい……そんな気持ちに寄り添ってくれる本4選

本などから学ぶ

2019/12/19

居場所がない。消えてしまいたい。

どうしようもないほどに切実な思いから、何の気なしにふと頭によぎる瞬間まで。やり場のないこの気持ちをどう扱えばいいのでしょうか……?

今回は、そんな孤独感や心の疲れに寄り添ってくれる4冊をご紹介します。

『「もう頑張れない」って言ったって、君の価値は下がったりしない』(夏ノ瀬いの、水島広子/KADOKAWA)

「メンタルは頑丈なタイプ」だったはずが、夢を抱いて入学した専門学校を中退。現実から逃げてしまった自分に絶望し、「消えたい」と思うほど追い詰められる……。そんな著者の体験をもとにしたコミックエッセイ。

自分を見つめ直すための考え方や居場所の見つけ方、自分を肯定するための自信の持ち方などが4章に分けてつづられており、章ごとに精神科医の水島広子先生のコラムも掲載されています。

「キミだって別に弱くていいんだ」「キミはキミのままでいいよ」といった自分への信頼を取り戻しつつある著者の言葉は、「頑張らなきゃ」といつも自分に言い聞かせている人の心をほどいてくれるはず。頑張り過ぎて心が折れそうなとき、はっきりとした理由もないのにふと「消えたい」と思うときに手にしてほしい一冊です。

▼『「もう頑張れない」って言ったって、君の価値は下がったりしない』(Amazon)
https://www.amazon.co.jp/dp/4040653637/

『絶望読書』(頭木弘樹/河出書房新社)

難病で苦しんだ経験を持つ著者が、「絶望」を感じる期間をどう過ごせばいいのかについて書いた本書。第一部では、著者自身の苦しさや悲しさとの付き合い方、第二部では絶望に寄り添ってくれる本や映画、ドラマを紹介します。

苦しみや悲しみを無理におさえこむと、数年後、思いがけないときによみがえることがある。そうならないために、絶望したときはどっぷりとひたり、すぐに立ち直ろうとしないことが大切だそう。

「自分の周りには誰もいない」と思ったとき、それでも本や物語はそばにいてくれることを教えてくれる一冊。カフカの名言、太宰治の作品、ドストエフスキーの人生、それらを紹介する著者の優しい言葉運びは、絶望の中で一筋の光になるかもしれません。

▼『絶望読書』(Amazon)
https://www.amazon.co.jp/dp/4309416470/

『「自分の居場所がない」と感じたときに読む本』(水島広子/かんき出版)

「居場所のなさ」を感じてしまう理由、「居場所」を感じるために重要な要素、「居場所」感を増やすための工夫など、「居場所づくり」全般が分かりやすく書かれています。

本書で述べられている「居場所」のキーワードは「自己受容」。自己受容とは、ありのままの自分を受け入れるということ。つくろわなくてよいという安心した気持ち(自己受容)が、「居場所」をつくるのだそう。

とはいえ、自分を受け入れるのは難しいもの。その方法として、「生き方を決める」「相手に居場所を与える」「自分に役割を与える」という3つのステップが紹介されています。

対人関係の中で「居場所のなさ」を感じていて、居場所をつくりたいと思っている人におすすめ。ただし、本書のような観点で居場所づくりに取り組んでみても、「居場所のなさ」が強い場合は専門家に相談しましょう。

▼『「自分の居場所がない」と感じたときに読む本』(Amazon)
https://www.amazon.co.jp/dp/4761271957/

『生きづらい毎日に それでいい。実践ノート』(細川貂々、水島広子/創元社)

ありのままの自分を受け入れる匕ントをつづったコミックエッセイ『それでいい。』(創元社)の著者2名による、自分を肯定するための実践ノート。ネガティブな感情をもたらしたきっかけや自分の気持ちを書きだし、「もし自分の親友がこんな状況にいたらどうこう声をかけるだろう?」と想像して、自分の「親友」の言葉を書いていきます。

最初は「親友の言葉」を書くのに戸惑うかもしれませんが、それでも続けること。私たちは人生の多くをダメ出ししながら生きています。だから、それと反対向きの力を育てるにはそれなりの意志と時間が必要なのです。

ところどころに水島先生の「途中解説」や「振り返り」、細川貂々さん自身が「実践ノート」に取り組みながら感じたことを綴った漫画があるので、続けてみようかな、という気になれるはず。

ネガティブな感情を悪いことだと思っている人、自己否定を続けてしまう人にこそ読んでもらいたい一冊。書くことを通じて、自分の感情を認め、自分に優しくする能力を育てていけることでしょう。

▼『生きづらい毎日に それでいい。実践ノート』(Amazon)
https://www.amazon.co.jp/dp/4422930818/

無理に上を向こうとしなくていい

水島広子先生によると、ネガティブな感情にも役割があるのだそう。ならば「消えていなくなりたい」という気持ちにも何らかの役割があるはず。そう感じる自分を否定せず、いまはどっぷりとその気持ちに浸かるのもいいでしょう。

けれど、その苦しさを一人で抱え込まないために、本を用意しておくのも一つの手。自分の気持ちを分かってくれる本に出会えたら、それは一生ものの存在になってくれるはずです。

(企画・選書・執筆:水本このむ 編集:鬼頭佳代/ノオト)

※本記事はWebメディア「クリスクぷらす」(2019年12月19日)に掲載されたものです。

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