【書籍紹介】僕らは何のために勉強している? 『中学生からの哲学「超」入門―自分の意志を持つということ』
本などから学ぶ
2016/12/02
学校がつまらない、何のために勉強しているかわからない、ルールを押し付けられたくない、家に帰りたくない……こんな気持ちを持つあなたにおすすめなのが、物事の本質を追求する学問「哲学」の本だ。
▼中学生からの哲学「超」入門―自分の意志を持つということ(竹田青嗣/ちくまプリマー新書)
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「哲学」と聞くと難しそうに感じるかもしれないが、中学生に向けてわかりやすく考え方を解説している。
著者はどんな人?
著者の竹田青嗣さんは在日韓国人2世で、早稲田大学国際教養学部で教授をしている。
彼が大学に入学したのは学生紛争時代(1960年代)。当時流行していたマルクス主義に影響され、大企業に勤めるのは何となく悪いと思い、卒業後はフリーターになったそうだ。
その後、神経症になったことをきっかけにフロイト(夢診断で有名な哲学者)、フッサール(現象学を提唱した哲学者)を学び、哲学の道に進んでいった。
本は、大きく4つの章に分かれている。
1、自分とは何者か
2、世界はどうなっているか
3、なぜルールがあるか
4、幸福とはなにか
この中から印象的だった言葉を紹介しよう。
どんな苦しみも意味がある?
神経症に侵されたことをきっかけに哲学の世界に入った著者は「『世界像』がいくつもある」ということに気付いた。
1枚目の世界像は高校までの、家族、友人、学校などを中心とした世界。本を読むことなどで言葉がたまってくると、2枚目の世界像に出会う。すると1枚目の世界像に対して「これまでの世界観は間違っていた」と感じる。しかし、ここでは終わらない。
著者の言葉によれば「二枚目の世界像が相対化されて三枚目の世界像を得たとき、われわれは、世界経験というものの全体像をつかむ」(P47)という。
では、3枚目の世界像を得るためにはどうすればいいのか? それにはなんと、自我が壊れるほどの挫折経験が必要なのだという。
徹底的に壊れる経験がないと、世界が深まらない。つらい経験は、自分が感じる「世界」を深めるためにも必要な出来事なのだ。
竹田さんは「ひどい失恋をして『世界』が一度壊れても、自殺しないかぎりは、必ず世界はまた復元されてくる」(P51)という。
勉強する意味、生きる意味とは?
著者は「幸福とは何か」の章で、生きる意味、勉強する意味についても触れている。
学生の中には、学校で毎日行われる授業にうんざりしている人もいるかもしれない。僕らは何のために勉強しているのか? 将来どんな風に役立つのか? 自分は何のために、どんな風に生きるのか?
ヒントが欲しくなったら、ぜひこの本を開いてみてほしい。ほかにも宗教と科学の違い、親子関係、そして欲望についてなど、哲学を通してわかりやすく解説している。
自分の見ている世界に違和感を覚えるときこそ、深く考えるチャンス。本に書かれていることなどをヒントに、世界を広げてみよう。
(ミノシマタカコ+ノオト)
<記事で紹介した本>
▼中学生からの哲学「超」入門―自分の意志を持つということ (ちくまプリマー新書) 竹田青嗣