SNSに疲れてしまった……ネットのしんどい人間関係に悩んだ時に読みたい本5選

本などから学ぶ

2018/09/14

最近、よく耳にする「SNS疲れ」。流れてくる友人の情報に、なんとなくモヤモヤしたり、ストレスを感じたりしてしまう人も多いのではないでしょうか。

今回はSNSに疲れを感じ、自分の使い方を見直したい時のために手元に置いておきたい本を5冊ご紹介します。

『多分そいつ、今ごろパフェとか食ってるよ。』(著・Jam、監修・名越康文/サンクチュアリ出版)

SNSやリアルな人間関係にまつわる心の「モヤモヤ」をやわらげるちょっとした「考え方」を、かわいいネコの4コママンガと作者のエピソードを交えて教えてくれます。

タイトル『多分そいつ、今ごろパフェとか食ってるよ。』もその一つ。SNSや日々の生活で悩みやストレスを感じることが多かった著者。ある日、人間関係で嫌な思いをしていることを友人に相談したところ、「多分そいつ、今ごろパフェとか食ってるよ」と言われ、「相手はパフェを食べて楽しめるくらい気にしてないかも」と思ったら妙に納得でき、悩むのをやめられたそう。この漫画は、Twitterで50万回以上リツイートされ、共感を集めました。

友人や知人に言われた何気ない一言から著者が得た“気付き”を言葉とマンガで表現した1冊。自分の周りにいる“顔の見える人”に意識を向けるほうが大切なんだ、相手を変えることは難しいから自分の考え方を少し変えてみるといい、などのメッセージを感じることでしょう。周りの人に「嫌われたくない」と強く思い過ぎてつらさを感じる人に、ぜひ手に取ってほしい作品です。

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『友だち幻想』(菅野仁/ちくまプリマー新書)

社会学を専門とする著者が、人間関係でつまずきを感じ始める中高生に向けて書いた1冊。2008年に出版された本ですが、著者が説く他者(=自分以外のすべての人間)との距離感の大切さは普遍的。むしろSNSを一般的になった今だからこそ、大切にしたい考え方や考察が平易な言葉でまとめられています。

幸せになるための「友だち」や「親しさ」が、逆に自分や相手を息苦しくしてしまう――。著者はこれを「同調圧力」と呼んでいます。リアルな人間関係はもちろん、誰とでもつながることができるSNSの世界にもこうした同調圧力が存在するのです。

本書はSNSでの友だちや「いいね!」の数、コメントが気になるという人におすすめ。SNSでの「つながり」について、客観的に見直すきっかけになることでしょう。

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『節ネット、はじめました。 「黒ネット」「白ネット」をやっつけて、時間とお金を取り戻す』(石徹白未亜/CCCメディアハウス)

ネット中毒者だった著者が、ネットとほどよく距離を保って付き合う方法「節ネット」について書いた本。見た後にネガティブな感情だけが残るサイトを「黒ネット」、ためになるもそれ故につい見すぎてしまいがちなサイトを「白ネット」と区分し、著者ならではの対策を紹介しています。

例えば、筆者にとってはFacebookが何よりも自分の心身の健康を損ねているネットサービスなのだそう。「SNSにはまる理由は承認欲求」とし、自分で自分を承認する「自褒め」を日記に書いたり、モヤモヤする書き込みは非表示にしたりするなどの対策が紹介されています。SNSに一喜一憂せずほどよい距離感を保つための著者の試行錯誤はユーモアたっぷり。

「ネットから少し離れたい」と思っているのであれば、一読の価値ありの一冊です。ネットと距離を置くためのあらゆるアイデアが書いてあるので、自分に合いそうな技を試してみてくださいね。

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『「今、ここ」に意識を集中する練習』(著・ジャン・チョーズン・ベイズ 監修・石川善樹/日本実業出版社)

自分の体や頭や心の中、さらに身の周りに起きていることに意識を完全に向ける「マインドフルネス」の実践本。著者は、アメリカで禅寺を営む女性小児科医師のジャン・チョーズン・ベイズ。彼女によると、マインドフルネスとは「批判や判断の加わらない『気づき」」のことだそう。

日常の中でできる「今、ここ」に意識を集中する練習の方法が、53通り紹介されています。例えば「メディアを断つ」という練習。ニュースやSNSなどあらゆるメディアを1週間断つことで、メディアに代わる時間の使い方を発見でき、脳と心を空にしておだやかな心でいられるようになるというものです。

マインドフルネスについて書かれた本ですが、SNSと適切な距離を置き、自分と向き合う時間を大切にするためのヒントが散りばめられています。

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『ザ・サークル』(著・デイヴ・エガーズ 訳・吉田恭子/ハヤカワ文庫)

SNSが持つ可能性と恐怖を描いた社会派サスペンス小説。舞台は世界最高のインターネット・カンパニー「サークル」。故郷での退屈な仕事を辞めてサークルに転職した24歳のメイは、才気あふれる同僚たちに囲まれて幸せな会社生活を送りはじめます。

ところがある事件を機に、超小型カメラで自らの24時間を全て公開することになります。一瞬にして1000万人を超えるフォロワーを獲得し、一躍ネットの有名人になったメイ。サークルは人と社会の「透明化」に向け、次々と新たなプロジェクトを立ち上げ実現していき、次第に個人に一切のプライバシーを許さない社会へと変貌していきます。

本書で描かれるようにすべてが可視化される社会が実現したら、何を得られて何を失ってしまうのか。距離も時間も無視して人とつながってしまう世界に警鐘を鳴らす作品です。

SNSでのやり取りに一喜一憂し、手を伸ばせば届く距離にいる友人や両親とのコミュニケーションをおろそかにするメイの姿に、思わず自分を重ねてしまう人も少なくないのでは。フィクションでありながら、思わず実在するIT企業を連想させるノンフィクションのような味わいもある一気読み必至の1冊。

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自分がどのように使いたいかを軸にする

今回は、SNSとの付き合い方や人とのつながりについて書かれた本、SNSをテーマにした小説を紹介しました。

SNSには、良い面も悪い面もあります。懐かしい人との再会や新しいつながりを得られるのはSNSならではの良さです。自分に合ったSNSとの適度な付き合い方を見つけていきましょう。

(企画・選書・執筆:水本このむ 編集:鬼頭佳代/ノオト)

※本記事はWebメディア「クリスクぷらす」(2018年9月14日)に掲載されたものです。

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