どうしたら「お金」と幸せに付き合える?――お金の正体に迫るヒント本5選

本などから学ぶ

2019/01/21

お年玉や成人式のお祝い金、今年の貯金目標額など、「お金」に触れる機会が多い1月。

そもそも「お金」とは何でしょうか?

今回はお金を稼ぐ以前に知っておきたい、「お金そのもの」を知るために役立つ5冊を紹介します。

『おカネの教室 僕らがおかしなクラブで学んだ秘密』(高井浩章/インプレス)

経済記者・デスクとして20年以上の経験を持つ著者。自身の3人の娘たちに「物語を読んでいるだけで、お金や経済の仕組みがわかる本」を読ませたいと思い立ち、7年かけて書き上げたのが本書です。

物語の登場人物はどこにでもいる普通の中学2年生・サッチョウさん、町一番の大富豪の娘・ビャッコさん、そして「そろばん勘定クラブ」の顧問・カイシュウさんの3人。カイシュウさんから出される宿題を解くために、2人の中学生が「考える」「調べる」「体験する」ことを通して「答え」を見つける展開になっています。

例えば1つめの宿題は、「かせぐ、ぬすむ、もらう。この3つ以外に、お金を手に入れる方法を3つ挙げなさい」。問いかけられたらつい考えてしまう、そんなユニークな宿題ばかり。大人から子どもまで楽しめる内容なので、ぜひ親子で読んでみてください。

お金の基本はもちろん、働くことの意味や市場の仕組み、障がい者の雇用、生活保護不正受給なども取り上げています。お金の不思議さや働くことの意味を理解できれば、お金の面白さを真に理解できるはず。

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『マネーという名の犬 12歳からの「お金」入門』(著・ボード・シェーファー、監修・村上世彰/飛鳥新社)

「12歳から」とあるように、本書は子ども向けに物語仕立てで書かれています。難しい用語があまり使われていないので、子どもはもちろんお金の知識に自信がない大人にもおすすめの一冊。

両親がお金に困っているせいで口論が絶えず、悲しい思いをしている少女・キーラ。ある日、キーラはけがをした犬を助け、マネーと名付けます。実は、マネーは人間の言葉を話す不思議な犬でした。

マネーからお金との付き合い方を教わるうちに、彼女を取り巻く状況は少しずつ変化していきます。目標を持つ大切さや物事を継続するコツなど、人生を豊かにする考え方もたくさん盛り込まれています。

この物語の優れたところは、お金の原理原則を優しく丁寧に説くだけではなく、キーラという一人の少女の成長ストーリーを描いているところ。キーラに感情移入しながら楽しく読み進められるでしょう。

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『14歳からのお金の話』(池上彰/マガジンハウス)

お金や経済を中学生も分かる平易な言葉で解説。銀行が誕生した背景や日本のお金の単位が「円」になった理由、インフレとデフレ、株式市場、消費税など、お金に関するトピックをイラスト付きの見開き2ページで説明します。

例えば、平成を振り返るテレビ番組でよく登場する「バブル」。本書では、バブルは昔から世界各地で発生してきたと書かれています。その他にも、「円高」「円安」や「格差社会」など、日ごろニュースで見かける言葉や具体的な事象が取り上げられていて、退屈せずに読めます。

子どもがお金に自発的に興味を持つタイミングで渡したい一冊。きっと好奇心のおもむくままにページをめくることでしょう。子どもに質問されたときに困らないよう、大人も読んでおくとよいでしょう。

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『年収90万円で東京ハッピーライフ』(大原扁理/太田出版)

週2日は介護の仕事で最低限の生活費を稼ぎ、残りの5日は休むという「隠居生活」をしていたという著者。タイトルだけ見ると、年収90万円で暮らすハウツー本かと思う人も多いかもしれません。

実際に読んでみると、年収や東京での生活が本書の真意ではないことが分かります。本題は「ハッピーライフ」の部分。人が日々の生活に満足して生きていく大切さ、そのきっかけやヒントが著者の経験を交えて綴られています。

自分を本当に満足させてくれるものは何か。お金がたくさんあるからといって幸せになれるのか。学校に馴染めない。大人になっても楽しいことなんてない。そう感じている人に読んでもらいたい一冊。「人生ってもっと自由でいいんだ」と思えるはず。

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『お金2.0 新しい経済のルールと生き方』(佐藤航陽/幻冬舎)

本書のテーマは「お金」と「新しい経済のルール」。著者は、数億人の行動データとお金の流れを分析してきた実業家。専門用語は少なめの分かりやすい表現で、事例を交えながら、お金や経済を解説します。

著者は、資本主義の欠点を補う考え方として、価値を軸として社会が回っていく「価値主義」を提示しています。インターネット経由で資金を集めるクラウドファンディングや時間を売買できるサービス「タイムバンク」などはその一例です。

時代の大きな変化の中で、「お金」という当たり前の存在を再考し、「価値」の本質に迫ろうとする一冊。最終章で語られる「お金は単なる道具である」という一文に、はっとさせられる人も多いのでは。

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「お金」を考えることは「生き方」を考えること

日本ではお金の話を表立ってすることは敬遠されがちで、学校でもお金について学ぶ機会はあまりありません。

しかし、お金との正しい付き合い方を知らないせいで苦労している大人は多いもの。

お金との付き合い方を考えることは、突き詰めると「自分がどう生きたいか」を考えることなのかもしれません。

変化の時代を自分らしく自由に生きるために、本からたくさんの学びを得てくださいね。

(選書・執筆:水本このむ 編集:鬼頭佳代/ノオト)

※本記事はWebメディア「クリスクぷらす」(2019年1月21日)に掲載されたものです。

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