「いじめ」から身を守るためにどうすればいい?――さまざまな立場からいじめに悩む人のヒントになる本5選
本などから学ぶ
2019/10/23
いじめられていることを誰にも相談せず一人で抱え込んでいませんか?
いじめの加害者になっていること、またはいじめをただ眺めていることに葛藤を覚えていませんか?
いじめられる人、いじめる人、いじめを傍観する人。さまざまな立場からいじめに悩む人のヒントになる本5冊を紹介します。
『いじめから脱出しよう!自分をまもる方法12か月分』(玉聞伸啓/小学館)
「いじめと戦おう! ~対策と克服法~」というサイトを作り、いじめのメール相談を受けてきた著者。本書では、学校生活の4月から3月までの1年間の各月で起こった特徴的ないじめの相談のやり取りを追いながら、いじめがなぜ始まるのか、エスカレートしていくのかを明らかにしていきます。
これまでに1,000件以上の相談を受け、その対応に尽力しているからこそ語れる、いじめから自分を守る方法や、いじめる相手の心理の描き方は、穏やかながらも説得力があります。
いじめに悩む当事者だけでなく、いじめの仕組みに疑問を持つ人にもおすすめの一冊。仲直りの仕方やSOSの出し方、突然始まるいじめの対処法など、さまざまなことを学べることでしょう。
▼『いじめから脱出しよう!自分をまもる方法12か月分』(Amazon)
https://www.amazon.co.jp/dp/4098401762
『こども六法』(山崎聡一郎/弘文堂)
子どもが知っておいたほうがよい法律を、刑法や刑事訴訟法、少年法、民法、民事訴訟法、日本国憲法、いじめ防止対策推進法の7つからピックアップした本書。
「気軽に『死ね』って言ってない?(刑法第202条、自殺関与及び同意殺人)」「ケガをさせなくても暴行になるよ(刑法第208条、暴行)」「みんなと違っていてもいい(憲法第19条、思想、良心の自由)」など、小学校高学年以上の人でも読めるわかりやすい言葉でまとめています。
大人向けのあとがきで、「小学生当時の自分に法律の知識があれば、自分で自分の身を守れたかもしれない」と著者が語るように、知識は自分の身を守る武器になります。この本で身につけた知識は、いざという時にあなたのことを助けてくれることでしょう。
▼『こども六法』(Amazon)
https://www.amazon.co.jp/dp/4335357923
『10代のうちに知っておきたい折れない心の作り方』(水島広子/紀伊國屋書店)
なかなか知る機会のない心の守り方について教えてくれる本書。精神科医である著者が、6つの心の原則を軸に、いじめや陰口、SNSとのつきあい方、焦りや不安への現実的な対処法を教えてくれます。
イヤな感情には役割がある、怒っている人は困っている人、人にはそれぞれの事情がある……などの原則とさまざまな事例を照らし合わせながら、10代の感じる心のモヤモヤに答えていきます。
いじめられて悩む子どもにも、いじめていると自認する子どもにもおすすめの一冊。まさに心が折れそうな時に手に取ってみてください。心の原則を知ると、きっとラクになるはずです。
▼『10代のうちに知っておきたい折れない心の作り方』(Amazon)
https://www.amazon.co.jp/dp/4314011181
『いじめ 心の中がのぞけたら―漫画 明日がくる』(本山理咲/朝日学生新聞社)
朝日中学生ウイークリー(現・朝日中高生新聞)の投稿欄「いじめ伝言板」や取材記事などをもとに描かれた漫画『明日がくる』を書籍として再構成したシリーズ。いじめられる子、いじめる子、それにかかわる人の本音や揺れ動く心模様が丁寧に描かれています。
悩んでいる子や助けてほしい子、立ち向かう子、やり過ごす子など「いじめ」に向き合う方法もさまざま。苦しい思いや悲しい体験に共感できるだけでなく、こうしたら、こう考えたら……というヒントがいっぱいつまっています。
『バッテリー』『NO.6』など、少年・少女を主人公にした作品を多く手がける小説家あさのあつこさんからのいじめの当事者へのメッセージも収録。中高生にぜひ読んでほしい一冊です。
▼『いじめ 心の中がのぞけたら―漫画 明日がくる』(Amazon)
https://www.amazon.co.jp/dp/4904826736
『生きづらさを抱えるきみへ 逃げ道はいくらでもある-#with you-』(withnews編集部/ベストセラーズ)
生きづらさを抱える10代への企画「#withyou」は、朝日新聞社が運営するWebメディア「withnews」内の1コーナー。本書はそこに掲載された18名の体験談をまとめた1冊です。
特徴は、成功した人の物語ではないこと、つらい出来事からどうやって逃げたか、どうやったら逃げられるのか、“逃げ方”を集めているところ。
「強くなる必要もなければ、すぐにはい上がる必要もない。疲れたら立ち止まっていい」というイラン出身のタレントのサヘル・ローザさん。「犬とか猫とか本とかSNSとか美味しいラーメンとか、外に気持ちを向けてみよう」とユーモアたっぷりに伝える編集者・たらればさん。「あなたらしくいられればいい」と寄り添う文学YouTuber・ベルさん。他にもそれぞれの逃げ方が紹介されています。
「学校に行きたくない」「いじめがしんどい」と苦しむ中高生世代はもとより、職場の人間関係で辛い状況にある大人にもおすすめの一冊。逃げ方だけではなく、生き方のヒントを得られることでしょう。
▼『生きづらさを抱えるきみへ 逃げ道はいくらでもある-#with you-』(Amazon)
https://www.amazon.co.jp/dp/4584139121
「知ること」から始めてみよう
いじめは、今の自分だけではなく、大人になった自分にも影響を与える大きな存在。
もし事前に防ぐことができていれば、的確に対応することができていれば、適切に心のケアをしていれば、いじめから身を守ることができるかもしれません。そのためにまず「知ること」から始めてみましょう。
誰かに頼ってもいいし、逃げてもいい。また、いざという時のために法律を知っておくのもよいでしょう。今回紹介した本が、いじめから身を守るための一助になることを祈っています。
(選書・執筆:水本このむ 編集:鬼頭佳代/ノオト)
※本記事はWebメディア「クリスクぷらす」(2019年10月23日)に掲載されたものです。