2017/01/16

何かを選ぶのに立派な理由なんて必要ない イラストレーター・デザイナーの藤田さんが考える「進路の決め方」

先輩に聞く 

「絵を描いたりデザインをしたりして生活しています」というと、「好きなことをしてお金がもらえるなんてラクでいいよね」みたいなことをよく言われる。

以前は「あなたが言うほど気楽ではないし、好きなことを仕事にしたからこその苦労もあるのになぁ……」と思っていたけど、近頃は「好きなことを仕事にするのはラクでいいよ」と思うようになった。だって、嫌いなことを仕事にしてツラいのはイヤ、というかムリだもの。

人生の中で長い時間関わることになる仕事。それが嫌いなことだったりツラいことだったりしたら、ヘタをすると精神を病んで、それこそ死んでしまうかもしれない。だからね、もうみんな好きなことをして生きていったらいいよ。そう言いたい。

そうすると、好きなことを仕事にするにはどうすればいいの? という話になるので、わたしのことを少し書いてみようと思う。

もともとあまり人付き合いが上手ではなかった。というか、苦手だった。なので、小・中・高と学校は居心地のいい場所ではなかったし、家にいてもずっと漫画ばかり読んでいたような子どもだった。

友達はゼロではないけれどほとんどいない。でも、誰とも遊ばないというわけではない。別に楽しくはないけれど、あまり人を遠ざけてイジメられたりするのも嫌なので、付き合いで遊んでいるといった感じ。振り返ってみると、ほんとヒドイな。そりゃあ友達もできないでしょうと今なら思う(笑)。

勉強はわりとできた。何もしなくてもテストではそれなりにいい点をとっていたので、親もあまり心配はしていなかったように思う。進路についてもそれほど心配かけたことはないんじゃないかな。とはいえ、何もせずにできたのは中学のころまでで、高校生になって、ある日突然目の前に大きな壁ができた。

というのも、自分の学力で入れるレベルギリギリの学校に入学してしまい、どんどんついていけなくなってしまったのだ。そして、それまで勉強なんてしたことがなかったので、どうやって勉強したらいいのかがわからなかった。

ちなみにこの高校を選んだのはプールがないから。どうしても学校でプールに入りたくなかったからだ。

あいかわらず勉強はできないし、やり方もわからなかったけれど、「少ない友達にノートをコピーさせてもらう」「先生からテスト範囲を聞き出す」といった小技を身につけ、なんとか卒業はできそうになってきた。

そうすると気になるのはその後の進路。数カ月後、働いている自分なんて想像できなかったのでどうにかして大学へ行く方法を探した。

で、あれこれ資料をあさっていると入試科目が面接と小論文だけの推薦入試をやっている芸術系の大学をみつけた。かくして担任もビックリの入学試験でなんとか大学に滑り込むことができた。

大学進学し、勉強せずにやり過ごしつつも興味ある講義や実習にはわりとちゃんと取り組んでいった。すると、当たり前だけどそういう課目は結果的にそれなりに良い評価をもらうことになるわけで、ここにきてようやくひどい成績がだんだんと少なくなってきた。ちなみに大学での専攻は写真。絵は好きだけど自信がなかったから、選ばなかったのだ。

大学はまあまあ楽しかったけれど、お金がなかったのでずっとアルバイトをしていた。すると今度は出席が足りなくなってきて単位もギリギリ(こうしてみるとほんとにもうずっとギリギリで、今も仕事が締め切りギリギリなのはもう仕方ないことなのかとさえ思えてくる)。

大学に行きながらアルバイトしているのか、アルバイトのついでに大学へ通っているのかわからないような日常だったけど、このときやっていた印刷会社でのデザインの仕事が今につながっている。

その後いろいろあって今はフリーランスのイラストレーターをやっている。なんでフリーランスなのかというと、それは会社がつぶれたから(正確にいうと所属していた会社の部署が閉鎖したから)だ。現在に至るまで、本当にカッコイイ理由もステキな目標もなく進んできた。

ただ流されているみたいに見えるかもしれないけど、やりたくない、できないことをさけて、「できることをやっていたら、『できること=好きなこと』で、それが仕事になっていた」ということだと思っている。

わたしの高校選びは「プールが嫌」、大学選びは「筆記試験がムリ」、フリーランスのイラストレーター・デザイナーになったのは「会社がつぶれたから」。どれも自慢できる理由じゃないけれど、これを晒したのは、横道に逃げるのはいけないことじゃないよって言いたかったから。

なにかを選ぶとき、立派な目標やもっともらしい理由はなくてもいい。

「自分はこうしたい」ということも大事。でもそれと同じくらい「自分はこうしたくない」ということも大事だと思う。

みんながみんなはっきりとした目標をもっているわけじゃないし、だったら消去法で好きなこと、やりたいことを見つけてもいいんじゃないかと思う。

マンガ(ドラマ)じゃないけど、「逃げるは恥だが役に立つ」って時もあるのかもしれない。

(藤田倫央+ノオト)

※本記事はWebメディア「クリスクぷらす」(2017年1月16日)に掲載されたものです。

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