死にたいと思うあなたに聞いてほしい 人が死んだ後の話
先輩に聞く
2017/03/08
逃げたい、つらい、苦しい、嫌なことばかり起こる、もうすべてを終わりにしてしまいたい……。
そんなふうに思う時、ありますよね。
私もあります。これまで何度もそう思いました。
でも、死にたいと思うことはありませんでした。それは何故なのか、これからお話します。
私はフリーランスのライターです。働いていた会社の上司とどうしても馬が合わず、勢いで退職したあと、ライターになりました。
主に、昔から好きだった自動車関係のライティングをして生活しています。札束風呂に入るほど儲かっている……なんてわけなく、月末のいろいろな支払いに四苦八苦して、ガクガクブルブルしているのが毎月のお約束、そんな大人です。
皆さんが「死にたい」と思うときって、どんなときでしょうか。友達に裏切られた、そもそも友達がいない、悪口を言われた、家族とうまくいかない……。いろいろな嫌なことがありますよね。
こういうときに激しく落ち込んで、死にたい気持ちになってしまう人は、良く言えば繊細な心を持っている人だと思います。言い換えると、“気にしすぎてしまう人”、最近の言い方で言うと「豆腐メンタルな人」でしょうか。周りの目が気になり、普通の言動ができなくなる人。私もそうです。
ではなぜ、そんな自分が未だに自ら命を絶つことなく生きていられるのか。それは、私の高校一年生のときの体験が影響しています。
私の母親は、私が高校一年生のときに自殺しました。そのとき、 “人の死”というものがどれだけ周囲の人に影響を与えるのかを知ったのです。
毎日がつらすぎて自殺を考えている人は、自分が死んだあとの時間なんて、自分には関係ないと思うかもしれません。もしかしたら「自分が死んでも誰も悲しまない」「自分が死んでも世界は何も変わらない」と思うかもしれません。
それは、間違いです。
母の死が周囲に与えた影響は、決して少ないとは言えませんでした。特に、母親と一緒に暮らしていた私と祖母には、悲しさやつらさなど精神的なダメージだけではなく、現実的なダメージもありました。生活が苦しくなり、私は高校に通い続けることが難しくなったのです。
こんな文章で、死にたいと思っている全ての人を救えるとは思っていません。自分にそんな力がないのも分かっています。
だけど、私と同じく“気にしすぎてしまうタイプ”の人たちには「自殺したら周囲の人にいろいろな影響があるぞ、場合によっては迷惑がかかるんだぞ」ということを声を大にして言いたい。
私と同じタイプの人であれば、人に迷惑を掛けることの重大さをわかってくださると信じています。
「あなたが死ぬと、周りの人に迷惑がかかるから死ぬな」
なんだか後ろ向きな主張かもしれませんが、いろいろ考えちゃうあなただから、自分が死んだ後のこともいろいろ考えてみてほしいと思います。
ちなみに、このコラムを依頼されたとき、担当編集者に「楽しいと感じるのはどんなときですか?」と聞かれて、ちょっと困りました。
友人とくだらない話をしているとき。
美味しいごはんを食べているとき。
クルマでドライブしているとき。
そんな小さなことしか思いつかないのです。
でも、こんなちっぽけな出来事の積み重ねこそが、幸せなのかもしれないなと、今は思っている次第であります。
(執筆=小鮒康一+ノオト、写真=yukio)
※本記事はWebメディア「クリスクぷらす」(2017年3月8日)に掲載されたものです。