【アンケート調査】 通信制高校に入る前と入ったあと印象はどう変わった? 在校生・OB100名に調査
通信制高校
保護者の声
2021/12/08
少子化にもかかわらず、通信制高校への入学者数は平成22年の18万7千人と比較して、令和元年では19万7千人超になりました。10年間で約1万人程度増加したことになります。
そんな、生徒数が増加している通信制高校では公立校に対して私立校が増加。その結果、カリキュラムも多様化してきており、これまでのイメージと変わってきているのではないでしょうか。
そこで通信制高校ナビでは、通信制高校への入学前後の印象変化について、通信制高校に通っている・在籍していた・卒業した方、またその保護者の方100名(男性:55名/女性45名)を対象にアンケートを実施しました。
調査結果サマリー
- 入学前の印象は「良かった」と「良くなかった」の割合が拮抗
- 印象の変化の多くは「登校頻度」、「学習内容」に関するもの
- マイペースに学べ、サポート体制もあり、学内の雰囲気も想像より良かったとの回答が目立った
- 通信制高校への要望としては、より深い交流を求めるものや、学費に関するものも
印象「良くなかった」回答が半数も約4割は印象が好転
「Q1.通信制高校に入る前の印象を教えてください」という質問に対しては入学前の印象は「良い」(47%)、「良くない」(53%)と若干「良くない」と回答した方が多かったものの、おおよそ半々という結果となりました。
「Q1.通信制高校に入る前の印象を教えてください」で、「あまり良くなかった」・「わるかった」・「とてもわるくなった」と回答した53名のうち、入学後に印象が「とても良くなった」「良くなった」と回答した方は20名。割合では4割の人が入学後に通信制高校の実際を知ることでネガティブな印象が払拭されたようです。
印象に寄与したのは登校頻度や学習方法に関するものが多数
Q3は入学前の印象は不問で、入学後に印象が「とても良くなった」・「良くなった」または「わるくなった」・「とてもわるくなった」と回答した方に、印象の変化に寄与したポイントを質問しました。
その結果、「とても良くなった」・「良くなった」と回答をした方57名では、「登校日・登校頻度」(66.6%)・「学習の仕方」(64.9%)といったポイントが、印象が良い方向に変わった要因であることがわかりました。
具体的な意見としては以下が挙げられました。
- 進学校をいじめで退学し、意欲をなくしたがマイペースで勉強ができ、何より嫌な人間関係がなかった
- 授業の選択肢が多く、通学ペースも自分で決められた
- 前の学校に比べ登校日が減り、身体的にも精神的にも楽になった
- 学習面が不安だったが、サポートがしっかりしていた
- 生徒それぞれの事情に合わせて臨機応変に対応してくれ、卒業へ導いてくれる
- レポート提出遅れや出席時間不足があっても救済制度があり丁寧に対応してくれる
このように、自分にあったペースで学習が可能となり、学習へのフォローもしっかりしていたという意見がみられました。
また、印象が良くなったポイントとし20%以上の方が挙げている点として、「生徒の雰囲気」(29.8%)・「学校行事」(26.3%)・「部活動・クラブ活動・課外活動」(21%)といった勉強以外の要素が見られました。
具体的な意見は以下の通りです。
- みんなとの関わりは薄いかと思っていたが、行事などもあり、参加することで交流できる
- 登校拒否や発達障害のある子ばかりで、雰囲気が暗いかと思ったら、しっかり行事もあり、学校生活をみんなで楽しめた
- 思っていたより普通の子が多かった
- 中学で不登校になり心配だったが、先生全員が心理カウンセラーの資格を持ち、学校の雰囲気も良く、行事もあり、3年間で卒業もでき、全日制高校に行くよりとても良かった
- 色んな年齢の人との出会いがあり、良かった
抱いていた印象よりも、希望をすれば生徒同士の関わり合いもあり、通信制高校ならではの出会いや、イベント事もあったことがうかがえます。
更に「進学サポート」(15.7%)・「就職サポート」(12.2%)といった進路面でのフォロー体制についても
- 卒業してからの仕事について丁寧にアドバイスをしてもらった
といったように良かった面として挙げている方もいました。
通信制高校に希望するのはコミュニケーション・進学支援・学費
Q5「通信制高校について『もっとこうだったらいいのに』と思う点を教えてください」という設問に対してはコミュニケーション・進学支援・学費に関する回答が多く見られました。
コミュニケーションについては、学校行事や課外活動を積極的に行っている通信制高校も増えてきてはいるものの、生徒同士の交流を深めたいという声が見られました。
進学支援は、高校卒業だけでなく、大学進学を視野に入れた高いレベルの授業も選択できるように、との意見が見られました。他にも「もっとネットを駆使してほしい」という声、オンライン授業に関しての要望もありました。
具体的な回答
▼コミュニケーションについて
- 生徒間の交流があればなお良い
- もっと交流できればいいのにと思った
- 学校の特性上、新しく友人を作りにくい。何か交流できる機会があればと思った
▼進学支援について
- 大学を受けやすくしてほしい
- 大学進学を目指す生徒に向けて授業のレベルを上げてほしい
▼学費について
- 授業料が安くなってほしい
- 学費が安ければ良かった
- 学費が高い
多様な学習環境へのニーズに応えることが通信制高校に求められている
「Q6,通信制高校を選んだ理由を教えてください(複数回答可)」では、最も多い回答は「全日制高校が合わない(30%)」でした。
そのほか、選択率が高い順に以下の通りとなりました。
- 自分のペースで勉強したい(28%)
- やりたいことや目標がある(26%)
- 不登校の経験がある(24%)
- 人間関係をリセットしたい(23%)
目標とするものがあったり、不登校の経験があったりとそれぞれの事情がある中で、通信制高校を選んでいることが分かります。
調査から見えるもの
通信制高校のメリットとして、それぞれ生徒の事情に合わせ、自分のペースで勉強を進められる点があることは間違いないでしょう。近年は多様化するニーズに合わせ、生徒の個性により合わせた独自のカリキュラムを持った高校も増えており、通信制高校へのイメージも変わってきています。
学校法人角川ドワンゴ学園が運営するN高では、難関大学を見据えた実力派講師による特別授業や、将来の就職に向けたプログラミングや機械学習の講座、漫画やイラストなどのコースが用意されています。
他にもワオ校ではより実学的な教養として「哲学」・「科学」・「経済」を自ら主体的に学ぶ教養探究科という学科を設け、激しく変化する現代の社会情勢にあって柔軟に思考・対応できる生徒を育む教育カリキュラムを用意しています。
そのほかにも、吉本興業高等学院といったサポート校では、お笑い・芸能はもちろんのこと、生徒の将来の夢を独自のノウハウで強力にバックアップするなど、従来の高校では対応のできなかった科目を、高校の学習過程で選びとっていくことができます。
様々な働き方、生き方、多様性が重んじられる現代、生徒それぞれの特長や個性に合わせた「もっと学校が○○だったらいいのに」に応えることのできる通信制高校のニーズが今後より一層高まっていくだろうと推測されます。
また、政府主導で通信制高校のあり方が再検討されていますが、多様な学び方やサポートを実現するために、全日制高校と同等の学費支援も同時に検討されることが望まれます。
◎参考ページ
- 学業と両立!オリンピアが選んだ通信制高校という選択肢
- 通信制だと就職できない? 高校生就職のプロに聞いてみた
- 【インタビュー】中学3年生のときどうやって進路を決めた? 通信制高校へ新入学した理由は?
- 【通信制高校生の1日】勉強時間はどれくらい? 趣味やバイトはどうしてる?
- 通信制高校が叶える新しい学びの場! 保護者視点のメリット・デメリットは?
- 【素朴なギモン】通信制高校にはどんな行事があるの?
「通信制高校に関するアンケート調査」概要
- 調査対象:通信制高校に通っている・在籍していた・卒業した方、その保護者の方100名
男性:55名 女性:45名 - 調査期間:2021年11月19日
- 調査方法:インターネットでのアンケート調査
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この記事を書いたのは
通信制高校ナビ編集部