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【2024年度更新!】高等学校等就学支援金で授業料が無料!?所得制限や支給額、学費以外の費用に使える支援も
高校へ進学する人が98%以上となった昨今、私立でも公立でも、家庭環境に関わらず学校選択の幅を広げるため、国が学費の一部を負担してくれるようになりました。その制度が『高等学校等就学支援金』です。
文部科学省のWEBサイトに就学支援金のしくみが記載されていますが、ここではそのしくみを分かりやすく解説していきます。
高等学校等就学支援金とは?
高等学校就学支援金は、高等学校の費用を国が一部負担する制度で、2014年4月からスタートしました。家庭の経済状況により進学を諦める生徒が少なくありませんでしたが、進学の機会を平等にするため、この制度が適用されることに。
2020年4月からは制度が大きく変わり、私立高校の授業料の支援額が増加し、実質無料となる場合も出てきました。
就学支援金のお金の流れ
就学金は学生が所属する学校に直接支払われるため、授業料以外の別の目的に使用することはできません。
注意!支援金がもらえても最初に支払うお金は必要
高等学校等就学支援金への申請は、4月の入学後に学校経由で行うことになります。そのため入学にかかるお金、例えば入学金や授業料といったものは、入学前に支払う必要があります。
つまり、お金はあとから手元に返ってきますが一時的に家庭で負担しなければならないことを忘れないようにしましょう。また、申請しても審査期間などが必要となるため、学校から家庭へ返金されるのは夏以降になることが多いようです。
就学支援金がもらえる条件とは?
就学支援金は誰もがもらえるわけではありません。あなたの家庭はもらえるのか、条件について確認しておきましょう。
受給資格がある方
下記が満たされていれば、就学支援金の受給対象者となれます。
- 日本国内に住所があること
- 国立・公立・私立は問わず、高等学校、高等専門学校(1〜3年)、専修学校(高等課程)等の学校に通う生徒
受給対象とならない方
上記項目を満たしていても、以下のいずれかに該当する場合は受給することはできません。
- 世帯年収が910万円以上の世帯(片働き・子一人の場合)
- 高校学校等を既に卒業または修了した方
- 高等学校等に在学した期間が通算して36ヶ月を超えた方(通信制・定時制は48ヶ月まで可)
なお、世帯年収の枠組みは以下のようにケースバイケースですので、受給できるかどうかは学校に相談が必要です。
- 親が離婚している場合
→ 主に生計を共にしており養育をしている親の収入が世帯年収となる - 祖父母と同居の場合
→ 主な養育者である父・母などの収入が世帯年収となる。 - 入学者が20歳以上の場合
→ 自分の生計を維持している人の年収か、自分の収入のみが世帯年収となる
就学支援金をもらえる金額と収入の関係
就学支援金は世帯年収によって、もらえる金額が異なります。また、通信制高校課程か全日制高校課程かによっても変わるため、詳しく見ていきましょう。
全日制高校の就学支援金について
世帯年収が590万円未満の場合、公立高校では年間11万8,800円、私立高校では年間39万6,000円の就学支援金を受給することが可能です。 そして、世帯年収590万円以上~910万円未満の場合は、公立でも私立でも支援金は年間11万8,800円となります。
公立高校の授業料はどこの学校も年間およそ11万8,800円以下となるため、世帯年収が910万円以下であれば、公立高校の授業料は無料となると考えてほぼよいでしょう。
なお、私立高校の授業料が支給される金額よりも高額だった場合は、差額を自己負担して支払う必要があります。
家族構成と、労働状況によっても目安となる世帯年収は変わってくるため、しっかりと確認しておきましょう。
通信制高校の就学支援金について
通信制高校の場合、就学支援金は1単位ごとに支給されます。
公立の通信制高校の1単位あたりの学費は、地域にもよりますが300円〜700円程度です。公立の場合、就学支援金は1単位336円まで支給されるため、多くの学校は学費が無料、もしくは負担金は少額ですむでしょう。
一方、私立の通信制高校の場合、保護者の世帯年収によってもらえる就学支援金の額が異なります。
世帯年収が590万円未満の場合は、1単位あたり最大12,030円。590万円~910万円未満であれば1単位あたり最大4,812円が支給されます。
※1単位あたりの費用が12,030円以下の場合は、費用相当額を上限に支給されます。
■通信制高校の支給額と世帯年収 早見表
学校の種類 | 保護者の 世帯年収目安 |
就学支援金支給額 |
---|---|---|
公立 | 約910万円未満 | 336円/1単位 (授業料実質無償化) |
私立 | 約590万円未満 | 最大12,030円/1単位 (授業料実質無償化) |
約590万円~910万円未満 | 最大4,812円/1単位 (差額は自己負担が必要) |
なお、就学支援金には支給期間と支給額(単位数)に上限があります。
- 支給対象単位数の上限:74単位(卒業必須単位数)
- 年間の支給対象単位数:30単位(超えた分の就学支援金は受け取れない)
- 支給期間の上限:48ヶ月(休学する場合は支援金も一時停止しよう!)
- 一単位あたりの支給額は4,812円
上記が、通信制高校で受け取れる就学支援金の内容であり、最大356,088円(74単位×4,812円)受け取ることが可能と分かります。
単位が取れなくて在学期間が伸びる、74単位以上取得したい場合などは自己負担となるので気をつけましょう。
学費が足りない場合は都道府県の制度を利用しよう!
私立高校の場合、授業料が高く就学支援金だけでは賄えない場合もあるでしょう。そんな人のために、各都道府県が用意する支援金もあるので忘れずに活用しましょう(名称は都道府県ごとに異なります)。
例えば、世帯年収が250万円未満であれば施設利用費などを含む学費が無料になる都道府県は多くあります。都道府県によって支給される世帯年収の基準に差が出ます。
参考)高校生等への修学支援|文部科学省
注意!学校のある場所によってはもらえないことも
世帯年収が低い場合は就学支援金も増額される
都道府県によっては、居住する都道府県ではない学校へ進学する生徒に対しては、支援を行わない場合もあります。(高等学校等就学支援金は国からの支給なので行われます)
全日制高校や定時制高校の場合は、学校がどこにあるかわかりやすいですよね。しかし通信制高校の場合は学校法人として東京に登録されているが、生徒は全国から入学可能といった学校も多くあります。
この場合、居住する都道府県ではない学校への進学となり、都道府県の支援は受けられない可能性もあるため、注意が必要です。
授業料以外のお金はどうする?
高校生活を送るには、授業料以外にも施設利用費や教科書代、修学旅行費などがかかりますが、これは就学支援金の対象外となります。
そこで利用できるのが高等学校等奨学給付金で、平成30年には約41万人が利用している制度です。
高等学校等奨学給付金とは?
高等学校等奨学給付金は、私立高校に通う生徒の保護者の経済的負担を軽減するために、国と都道府県が授業料以外の教育に必要な経費の一部を助成してくれる制度です。
■給付要件
- 生活保護受給世帯、非課税世帯
- 保護者、親権者等が当該都道府県内に住所を有していること
- 高校生等が高等学校等就学支援金の支給対象となっている高等学校等に在学していること
■もらえる金額 分類表
世帯状況 | 給付額(年額) | |
---|---|---|
国公立 | 私立 | |
生活保護受給世帯【全日制など・通信制】 | 32,300円 | 52,600円 |
非課税世帯【全日制など】(第一子) | 122,100円 | 142,600円 |
非課税世帯【全日制など】(第二子以降) | 143,700円 | 152,000円 |
非課税世帯【通信制】 | 50,500円 | 52,100円 |
所得が低い家庭でも、高校進学を支援する制度はたくさんあります。しかし、基本的には自分から申請しなければならないため、受給資格に当てはまりそうな人は学校に必ず確認するようにしましょう。
ギリギリもらえない⁉ ボーダーにいる人ができる工夫
就学支援金には、世帯年収910万円(共働きの場合は1000万円程度)という受給できるかできないかの境界線があります。
ギリギリでもらえない可能性がある場合に考えられる方法が、「所得と判定される金額(以降 所得判定額)を減らす」ということだと思います。ではどんな方法で所得があれば判定額を減らせるのでしょうか?
所得判定額の減額対象となる方法
■iDeCo
自分で投資運用を行い、資産を形成する年金制度です。所得控除項目の小規模企業共済等掛金控除に当たるため、所得判定額の減額対象となります。
■その他
生命保険料控除や、自身保険料控除など税額決定通知書の所得控除欄に記載があるものは減額対象になります。
所得判定額の減額対象にならない方法
■ふるさと納税
都道府県や市区町村へ寄付をすることで、返礼品を受け取ることができる制度。こちらは、2020年以前は所得判定額を減らすために有効でしたが、2020年に制度が代わり対象外になりました。
■「住宅借入金等特別控除」(通称・住宅ローン控除)
マイホームをローンで購入した場合において、一定の割合に相当する金額が所得税から控除される制度ですが、こちらも対象になりません。
どうやって就学支援金をもらうの?
就学支援金を受け取るためには、以下の書類が必要です。
マイナンバー(個人番号)で所得要件を確認する場合
- 受給資格認定申請書(学校を通じて配布されます。)
- マイナンバーカードの写し等(マイナンバー通知カードの写し、マイナンバーが記載された住民票等)
課税証明書等で所得要件を確認する場合
- 受給資格認定申請書(学校を通じて配布されます)
- 市町村民税所得割額が確認できるもの(市町村民税税額決定通知、納税通知書、課税証明書等)
これを、入学時の4月に提出します。
受給資格の認定を受けた後も、世帯年収などに変化がないかを確認するため、毎年7月に下記の書類を学校等に提出する必要があります。
- 収入状況届出書(学校を通じて配布されます)
- 市町村民税所得割額が確認できるもの(市町村民税税額決定通知、納税通知書、課税証明書等))
就学支援金を利用して進学先の選択肢を広げよう!
就学支援金により、公立高校だけではなく私立高校でも授業料が実質無償化もしくは自己負担を抑えることができるようになりました。他にも所得の低い家庭には、いろいろな支援策が増えてきています。
つまりこれは、家庭環境や学費にとらわれず進学先を選ぶチャンスが広がったということ!
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さらに通信制高校の学費について詳しく知りたいという方は、「通信制高校の学費・授業料はいくら?無償化(免除)方法も徹底解説」でも詳しく解説していますので、こちらも参考にしてください。
この記事を書いたのは
通信制高校ナビ編集部
「一人ひとりに最適な学校探し」をテーマに、さまざまな進路選択を考える生徒さん、親御さんに向けて、よりたくさんの選択肢を提供できるよう、通信制高校、サポート校に関連する情報を発信しています。